四国支部の廣野です。1月28日(土)、四国研修センターで開催された海岸林再生プロジェクト活動報告会に
参加しました。パネラーの小林省太さん(元日本経済新聞論説委員)、浅野奈々穂さん(オイスカ本部職員)
から貴重なお話しを伺い、東北の海岸林再生に尽力して下さっている多くの企業・団体やボランティア、
専門スタッフの皆さんの熱い想いを知ることができました。報告会では、参加者一人一人感じるところが
違ったようで、個人のブログに投稿して下さった方たちの感想を拝見すると、面白い発見がたくさんあり、
今回の報告会が実現されて本当に良かったと思いました。
1時間30分の報告会だったので、子供にはちょっと長いかなと思い、私一人で参加したのですが、
ふたを開けてみたらあっという間に終わってしまい、子供も連れてくれば良かったと後悔しました。
海岸林再生の話だけでなく、人間ドラマもふまえた小林さんの報告は、子供たちの心に触れるものが
あると思いました。そして、私の頭の中では「情●大陸」のテーマソングが流れっぱなしでした。
内容は、
①震災被害状況、プロジェクトの主旨などの基本情報
②このプロジェクトがどのようにして始まったか、隠された人間ドラマにスポット
③プロジェクトの成果
④今後の課題
でした。
①は、江戸時代からある松林が津波で壊滅的状況になった理由
☞https://oisca.org/kaiganrin/faq
(よくある質問 Q2)
や、なぜクロマツなのかという、一般の人が抱く素朴な疑問などに対応したものでした。
☞https://oisca.org/kaiganrin/project#kuromatsu
(なぜクロマツ?)
②は、海岸林再生プロジェクト担当部長、吉田俊通氏の震災直後からの行動をまとめた内容でした。
3月11日(金)東日本大震災発生、3月13日(日)林野庁の知人に連絡、翌日オイスカ上層部に文書(案)
を提出してプロジェクトが始まったそうです。吉田担当部長のスピードの速さ、そしてオイスカ上層部の
GOサインの速さに驚きました。
吉田担当部長がこの広大なプロジェクト(100ha、50万本のクロマツの植栽を民間の寄付金のみで行う)
を立ち上げた背景など、本人の言葉で書かれたものがあります。
(まだ詳細は閲覧できませんが、以下情報まで)
☞ https://oisca.org/kaiganrin/blog/?p=16549
☞ http://www.ana-ri.co.jp/business/takeoff140-149.html
(私のような素人は、まず、100 haの広さが想像つきません。調べてみた所、東京ディズニーリゾート
<ディズニーランド51ha、ディズニーシー49ha>と同等だそうです。ちなみに、東京ドームは約4.7ha
だそうです。)
③は、一般的に生育中約20%がダメになってしまうといわれている中で、今現在、98%以上のクロマツが
良い状態で育っているそうです。その成功理由についてお話し下さいました。それは、現場と事務(人、
お金の管理など)のどちらも知り尽くしている現地統括の方が、ボランティアとプロをうまく使い分け
ながら作業しているからだそうです。例えば、植栽は基本的に森林組合などプロに、草刈りや排水用溝掘り
の作業はボランティアにしてもらっています。
それだけではありません。クロマツはクロマツでも、日本海側と太平洋側のクロマツは遺伝子が違うため、
オイスカの現場では日本海側のクロマツの種は使われていません。そんな中、宮城県産のクロマツの種が
間に合わず、採用されたのが、香川県と徳島県の種。四国から東北へお嫁入りです。
☞ https://oisca.org/kaiganrin/blog/?p=14018
こうした、専門知識と人員の確保のバランスが、これまでの成功に繋がっているようです。
④今後の課題については、大きく2つ挙げてお話し下さいました。
一つは、地元・自治体との協力関係です。
今は、どうしてもオイスカ主導でプロジェクトが進んでいるのですが、徐々に自治体主導に移行して
いかなくてはいけないということ。
もう一つは、オイスカが管理していない国有地6haは、他の団体が植林しているが、土地がつながって
いる以上、他団体との関係、情報交換、行政との関係をうまく構築していかなくてはいけないということです。
つい最近とても残念な地元ニュースを見ました。
日本の白砂青松100選にも選ばれている白鳥の松原(東かがわ市)が、管理が行き届かず松くい虫の被害が
大きくなり、苦境にたっているそうです。白鳥の松原は、私有地も含まれることから、自治体からの補助金額が他の松原より少なく、維持管理が大変だそうです。
自治体、行政との関係の重要さをこのような身近な事例で知ることになろうとは、ちょっと残念でなりません。
しかし、こうした松林の維持・管理の問題も今度考えていかなければならない重要事項だということが
よくわかりました。
さて、次は浅野さんのお話しです。
内容は、簡潔でスピーディー、映し出された映像には、大きく「ボランティアは戦力」。
まさしくこの一言につきるようです。
H27年度 1700人×8時間
H28年度 2000人×8時間
女性4割
驚いたのは、H27年度よりH28年度の人数が多いことです。東日本大震災から5年過ぎ、その間に日本・世界で自然災害は止まることなく起こっています。
また、いろいろな時事問題など常に情報が更新されている中で、参加人数を維持どころか増加させてしまうとは
オイスカパワーを見せつけられた気がしましました。
最後に、私は、オイスカに関わってはおりますが、全くの素人です。今回の活動報告会に参加する時、
私でも理解できるのだろうか、というのが正直な気持ちでした。そして、実際どれだけ理解できたかは
わかりません。しかし、今回の報告会に参加したことにより、海岸林再生プロジェクトについて、
もっと勉強したいという前向きな気持ちになることができました。
何より、この素晴らしい報告会を子どもから大人まで、もっとたくさんの人に聞いて欲しいと思うのは、
きっと私だけではないと思います。是非、またこうした機会を設けていただきたくお願い申し上げます。
本当にありがとうございました。