元日本経済新聞論説委員で現在オイスカのアドバイザーを務めている
小林省太さんより、先日開かれた「東京フォーラム」についての
ブログが届きましたので、ご紹介します。
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去る12月1日、在京大使館とオイスカが意見交換をする「東京フォーラム」が国会議員会館で開かれました。
集まった在京大使館のメンバーは13か国。アジアをはじめヨーロッパ、アフリカ、南米の国からも参加がありました。
その中身についてはオイスカの担当者の報告があるでしょう。
ここでは、「オイスカ国際活動促進議員連盟」の石破茂会長(衆院議員)のあいさつが面白かったので、紹介します。
石破氏は各国の外交官にオイスカの活動の意義を強調したのですが、そのなかで、今年の世界を特徴づける二つの
出来事として、イギリスの欧州連合(EU)離脱の決定(BREXIT)とアメリカ大統領選挙でのトランプ当選を挙げました。
今年の世界の大ニュースとして、誰もがこの二つを思い起こす「大事件」です。続けて、石破氏はこう言いました。
「グローバリズムは、国と国との格差は縮まるが、国のなかの格差は広がる仕組みである」
「富める者がますます富み、貧しい者がますます貧しくなる社会はいい社会ではない」。
英国や米国の、事前の予想を覆した国民の選択に、グローバリズムの影の部分、貧しい者の反乱を見た、
ということでしょうか。さらに続けます。
「(ものづくりでなく)金融でお金を儲けたり、国家が資本主義を主導する時代は終わろうとしている」
金融というのはいわゆるマネーゲームのことでしょう。ものをつくって売るという分かりやすい実態経済とはかけ離れた
金融取引が、あまりにも世界中で膨張してしまっていることへの危機感は、これまでもいろいろな人が指摘してきました。
バブルの要因になり、したがってバブルが弾ける要因にもなる。
そして「国家が資本主義を主導する」とは。私がすぐに思い浮かべたのはアベノミクスです。
あるいは日銀のマイナス金利政策。どちらも、「国家が資本主義を主導する」といっていい。
もちろん石破氏は「ポスト安倍」の最有力候補の一人です。
あいさつを聴きながら、オイスカとは関係ないそんなことを考えていました。
もう一つ、石破氏が指摘したのは日本の急激な人口減少です。このままだと80年後には人口は半分に減り、
200年後には10分の1、300年後には30分の1になる――。
このフレーズは石破氏の別のあいさつでも聴いたことがある。「もちろん放っておくつもりはないが……」と言ったうえで、
「日本の人材や文化、農地を世界のために活用したい」
「オイスカとともに世界との協力を進めていきたい」と石破氏は強調しました。
オイスカ活動の原点、それは農業であったり勤労であったり文化であったり、ということですが、こうした価値観こそ
これからの世界には大切だ、と石破氏は言いました。
オイスカの会合のためのあいさつですからそうした結論になるのでしょうし、私自身の価値観とも一致するので、
うなずきながら聴いていました。
そして、石破氏が考えている「あるべき世界の姿」を一度じっくり聴いてみたい。そうも思った次第です。