ネグロス養蚕普及プロジェクト

場所
ネグロス島西ネグロス州
活動開始年
1989年4月
受入機関
バゴ市・フィリピン研修生OB会

養蚕普及で山間地の農民の生計向上を

 1980年代、砂糖の国際価格の暴落により、砂糖産業に頼ってきたネグロス島は、一時「飢餓の島」と呼ばれました。 1989 年に西ネグロス州政府より協力要請を受けたオイスカは、特に生活苦を強いられた山間地の農民を対象に養蚕の技術指導と普及に着手。砂糖きびプランテーションでの賃金労働者から農民自らが自力による農業者の育成を目指し開始しました。

幸いにもバゴ研修センターを拠点に築いてきた長年に亘るオイスカ活動の実績と信頼を背景に、日本の一流の養蚕農家の元で学んだ研修生の OB たちが普及員や製糸技術者として活躍しています。

近況・今後の方針

現在プロジェクトで生産される生糸は全国生産量の90%を占めるまでになり、その大半は隣島のパナイ島アクラン州の機屋に販売されています。同州内には約200~300軒の機屋が存在し、昔からアバカやピーニャ(パイナップル繊維)を使った織物が盛んにおこなわれています。ここで使用される生糸量はネグロス生糸の約3~4倍と言われ、不足分は中国やベトナムからの輸入に頼っています。2015年にマニラで開催されたAPECで各国首脳が着用したバロンタガログの生地がネグロスで生産された生糸であることが新聞等で紹介されて以来、アクラン州では品質に優れたネグロス蚕品種と養蚕技術を導入して独自の生糸生産を目指しています。同州より要請を受けてネグロス生産組合より養蚕普及員を同州に派遣して、養蚕農家育成のための技術指導を定期的におこなっています。さらにフィリピン政府の農業省所管繊維開発局(FIDA)、科学技術省所管繊維研究所(PTRI)、貿易産業省(DTI)からの要請を受けて、2019年初旬より日本外務省支援の下、全国展開に向けた養蚕普及事業がスタートしました。同事業は同プロジェクトを基盤にした取り組みとなっており、同プロジェクトへの期待が益々高まってきています。