農村開発のための人材育成拠点の整備並びにマグウェ地域生計向上プロジェクト【N連】

より充実した青年育成と、住民の生計向上を目指して

期間:2014年3月~3年間(N連終了)

 本事業は、大きく2つの課題の解決を目標に実施しました。

 第一は、オイスカ・ミャンマー農村開発研修センター(ミャンマー政府/農業灌漑省農業局 主管)の施設・機材などの整備ならびに職員の能力強化、研修内容の改善です。1997年のセンター開所以来十数年が経過し、施設や設備は老朽化がかなり進んでいます。主に現地の自主財源によって運営されているセンターにとって、それらの改築費用の確保は難しい状況です。また、センターを拠点にさまざまな取り組みを行ってきましたが、年々高まる周囲の期待に応えるべく現地スタッフの能力強化が急務となっています。

 第二は、センターのあるイェサジョ郡内の住民の生計向上です。同地域はミャンマー国内でも特に厳しい乾燥地帯にあり、生計手段でもある農業は水不足など多くの困難な状況に置かれています。事業では、農業の生産性向上やその他の収益源である家畜飼育支援などを通じて、現在の貧困状態からの脱却を目指します。

【成果】

 3年間の事業は2017年3月で終了し、2つの課題について以下の成果を上げることができました。

 一つ目は、老朽化が進んでいた農村開発研修センター内の施設・機材について、特に研修事業や農村開発事業の実施に欠かせない車両、農業機械、施設などの整備や修繕を重点的に行いました。その結果、これまで研修事業や農村支援事業の実施の際に、老朽化等で事業の実施に支障が出ていた部分が大幅に改善され、より効率的、効果的な事業運営を実施できるようになりました。また、複数のセンター職員を対象に2回の訪日研修などを実施し、現地スタッフの能力向上プログラムも実施しました。帰国後、それぞれの職員が自分の担当分野に於いて、学んだ知識や経験を活かし事業の改善などに取り組みました。

 二つ目は、郡内の農業の生産性向上や家畜飼育支援を目的に、大きく3つの事業を行いました。それぞれ、郡内で老朽化し機能が損なわれていた3つの農業用灌漑ダムや付属の水路の修繕事業、1300戸の農民への技術指導を含む農業支援事業、農業以外で生計を立てている60村の1500戸の住民を対象とした養豚、養鶏等の家畜支援事業を実施しました。これらの事業を通じ、例えば女性の受益者からは「この事業を通じて、家庭内の女性の立場についてどう変化したか」という質問に対し、「手元の収入が増え発言力が増した。また男性が他に出稼ぎに行く頻度が減った」等の声が聞かれました。
 
 この事業終了後も、引き続き研修センターは、研修センター内で生産された生産物収入、研修受け入れ費や現地受託事業等で運営を続けています。また、事業で整備された灌漑設備は、それぞれの対象地域ごとに組織されている灌漑水利委員会を中心に、住民主体で水路の維持管理等が行われています。また、農業支援、家畜支援の対象農民に対しては、事業終了後も研修センターがこれまで同様に継続して関与し、適宜必要な指導を継続しています。今回の対象地域は、現地事業が実施しているマイクロクレジット、WFP(国連食料計画)等との対象地域とも重なっており、それら事業とも連携を継続しながら、事業対象の灌漑設の管理や農業、家畜支援対象者への支援も引き続き実施し、対象地域の住民の貧困状態からの脱却に目指した取り組みを続けています。