マングローブ植林プロジェクト(チッタゴン)

場所
チッタゴン管区、クルナ管区
活動開始年
1992年7月
受入機関
バングラデシュ総理府NGO局、バングラデシュ研修生OB会、RUPSA(現地環境NPO)等

サイクロン被害から人々の生活を守るために

 ミャンマー国境に近いチョコリア・コックスバザールの海岸線(チョコリア県並びにコックスバザール県 チッタゴン管区)は、かつて豊かな緑が延々と続くマングローブ林でしたが、薪炭材の採取やエビ養殖地の造成によってほとんどのマングローブが消失。後に襲来した大規模なサイクロンによって、近隣の住民は家族を失い、家畜、農場は甚大な被害を受けました。
 
 これを受けて、地元出身のオイスカの研修生 OB が呼びかけにより、海岸線60kmに渡る「緑の防波堤」を造ろうと、1992年より大規模なマングローブ植林計画がスタートしました。

地道な取り組みが強固な「緑の防波堤」を築く

 活動開始から約30年が経ち、2021年現在、700haを超える面積の植栽が終了。運河沿いに延々と連なるマングローブのグリーンベルトができました。

 プロジェクトでは、例年苗木を育てるところから始まります。植林地を管理している事務所の近くに苗床を設け、オイスカ以外にも植林を希望する地域の人々に配布しています。植林は5~7月の雨の多い時期に地域住民や学校の生徒、日本からのボランティアなどを集めて実施し、植えた後も、水牛による食害や不法な伐採を防ぐため、見回りは欠かせません。「緑の防波堤」は、このような地道な活動を何十年も続けてきたからこそ得られた成果なのです。

近況・今後の方針

 それまでの運河沿いではなく、2014年からは、海に直接面した干潟(チッタゴン管区内 モヘシカリ県)で、2019年からは西部のインド国境に近い川沿い(クルナ管区クルナ県)でのマングローブ植林もスタートしました。干潟での植林は順調に育っていますが、クルナ県の川沿いでの植林活動は、大河を100㎞もさかのぼってくる勢いのある潮流に苗が流されたり、民家が近いためにヤギの食害に遭ったりなど、さまざまな困難があります。そこで、これまでチッタゴン管区の実施責任者として活動していたスタッフ、マニック氏とその子息を派遣し、クルナ県の担当者に指導してもらうなどの工夫をしながら課題を乗り越えるべく、日々挑戦が続いています。