アブラ農林業研修センター

場所
ルソン島北部、アブラ州、ドローレス町
活動開始年
1984年10月
受入機関
アブラ州政府

農村の若者の心にやる気を!

 ルソン島北部、内陸に位置するアブラ州。州の中心を流れるラグベン川流域の山々はハゲ山と化し、長い乾季、雨季の豪雨、台風の襲来などが頻繁に発生する厳しい環境にあります。産業・経済的にも決して有利と言えない環境の下では、そこに住む若い人材の創意による新しい産業おこしが求められていました。このような状況の中、アブラ州政府からの農業を通じた農村青年の育成を要請に応え、水田・蔬菜・養豚・養鶏・植林などを含めたトータルな研修を進めるため、アブラ農林業研修センターを設立しました。

強いリーダーシップで地域の生活の向上を目指す

 強いリーダーシップを持ち、厳しくも温かい心で指導するデルフィン・テソロ所長のもと、アブラ州の農村青年を対象に、1年間の農業研修(稲作・蔬菜栽培、養豚、養鶏等)を実施しています。またセンターを拠点としてスタッフや研修生とともに、山間部の植林(累計約32ha)、隣の北イロコス州の沿岸でのマングローブ植林(累計約18ha)、そして「子供の森」計画(累計106校)も実施しており、環境保全センターの役割も果たしています。

 中でもユニークな試みとして進めているのが、マンゴ苗配布プログラム。「子供の森」計画参加校の子供たちの中から希望者にマンゴ苗を配布し、各家庭の庭で育ててもらいます。7~8年後には収穫が可能となり、家庭での消費後の余剰分は研修センターが買い取り、センターにある施設でドライマンゴに加工して販売しています。
こうした農林業・環境教育の活動の拠点としての役割に加え、最近では日本に送り出す技能実習生の基礎研修のセンターともなっており、マルチな機能を果たす施設となっています。

近況・今後の方針

 新型コロナウィルスパンデミックの影響を受け、研修活動・環境保全活動ともに計画通り進んではいません。それでも感染対策を実施しながら、2020年度は州内の農民に対し、2日間のカカオ研修(25名参加)、3日間のマッシュルーム栽培研修(30名参加)そして、サトウキビ栽培研修(20名参加)などの研修を実施しました。また、環境保全活動としては今後10年の間にアブラ州の荒廃した丘陵地・山地において、計500haの植林を行うこと計画しています。植林地周辺の住民200名に加えて大学生などにも声をかけデルフィン所長が最も得意とする住民参加型で進めていく予定です。