2022年1月27日

【~「住み続けられる未来のカタチ」リレーメッセージ~】定置型の有機農法を全国に広げたい②

  • 海外スタッフ
  • パプアニューギニア駐在代表の荏原です。

    前回は、オイスカラバウルエコテック研修センターの活動をご紹介しました。今回は、センターの2030年に描く未来についてお話します。

    研修センターのある東ニューブリテン州内に、移動式の焼畑農業ではなく、定置型の生命の連鎖有機農法を広く定着させ、将来的にはパプアニューギニア全国に広げたいと考えています。現在の研修センターのキャパシティでは、年間60人の研修が限界です。そのため、州内の4郡に1ヵ所ずつと、山岳民族の村に1ヵ所の合計5ヵ所の人材育成、技術研修施設となるリソースセンターを設置したいと考えています。定置型農業が定着することで、生物多様性の保護、熱帯雨林の保全につながります。

    農業指導の様子

    リソースセンターは、それぞれの郡でしっかりと運営をしてもらいます。オイスカ研修センターの活動と同じく、生命の連鎖農法有機稲作、堆肥やぼかしなどの有機資材の作り方、電気やガス、灯油も使用しない育雛の方法、洋裁、石鹸づくりなど、環境に負荷をかけず、村民のニーズがあり、生計向上につながる研修を定期的に実施します。オイスカはリソースセンターのコーディネートを担います。2022年度内に、テスト的に1ヵ所設置する予定です。

    リソースセンターでの研修を担当する講師は、国の技術研修資格取得者が務めます。オイスカの研修センタースタッフも講師を務めますが、リソースセンターの自立という課題を達成するため、地域内にも講師を務めることができる資格取得者がいることが求められます。オイスカは農民に向けた国の資格取得のための準備講習を実施します。オイスカの理念、生命の有機連鎖農法、SDGsに結び付いた研修を資格取得者に継続して提供するため、資格取得者向けのスキルアップ講習を年1回実施し、技術向上を目指します。

    次は海に目を向けたいと思います。素晴らしく青く澄んだ海ですが、近年、色彩豊かなサンゴを食べるヒトデや海藻を食べ尽くしてしまうウニが非常に増えています。このヒトデを捕獲し肥料やシロアリ除けなどに加工して、資源の有効活用を実践し、美しいサンゴ礁を保全する活動に繋げたいと考えています。また、多様な生物が棲む豊かな海にして沿岸地域の人々の生計向上をするため、マングローブの植林技術も確立したいと思っています。

    主に日本やオーストラリアなどへの輸出を目的にマンゴーやドリアンなどの果樹、カカオやバニラなどの高度な加工技術が求められる嗜好農産物の栽培にも挑戦したいと思っています。

    次回は、リソースセンター設置のために現在取り組んでいることと、その課題についてお話します。

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