災害に強い、森に守られた地域社会づくりプロジェクト【N連】
大型台風ハイエンを受けて
住民の生計向上とともに災害に強い地域づくりに取り組む
期間:2015年3月~2018年3月(3年間)
2013年11月に発生した大型台風ハイエンは、フィリピン中部のヴィサヤス地方に大きな被害をもたらしました。特にレイテ島東岸の被害は甚大で、津波により多くの家屋が流され、農業にも壊滅的な状態になりました。一方、ヴィサヤス地方の西端に位置するパナイ島アホイでも、多くの家屋が倒壊する一方で、水源林の森の80%が暴風雨でダメージを受けるなどの被害が出ました。
本プロジェクトは、この台風で被害のあったフィリピン中部のレイテ島東岸(タクロバン、タナウアン、パロ、トロサ)およびパナイ島アホイで、植林と被災民の生計向上を目指す事業です。
山間部のアホイでは、森林再生をはじめ、住民の生計向上支援として持続可能な農業・農産物加工の研修、アヒルの飼育や卵の加工、養蜂組合の組織化や飼育施設の建設等を行ないました。レイテ島の森林再生活動では、住民の組織化と青少年も含めた住民への海岸林の重要性を説く啓発活動、植林とその維持管理、フィリピン国内で実施されている先行事例を学ぶためのスタディツアーも実施しました。
【成果】
3年間の事業の実施を通じて、防災減災効果のある約546haの森を造り、持続可能な農業の促進で地域のレジリエンス向上に貢献しました。
パナイ島アホイでは、破壊された水源林に在来種10種や果樹13種を含む合計286,950本を植え、合計521haの森の再生を成し遂げました。在来種は台風の強風に負けない樹種を選び簡単には破壊されない森となった一方、ふもとを中心に植えた果樹は住民の生計向上に寄与しています。また、住民は災害にも左右されにくい様々な持続可能な農業技術を学び、地域全体のレジリエンスが大きく向上しました。
一方レイテ島東海岸では、マングローブ17.3ヘクタールに加え、マングローブの育たない海岸においてはフィリピンで初めて海岸林8.1haも植林し台風により起こる大波の威力を軽減する森が各地で育ってきました。また、モデルファームを設けて行った有機農業研修も延べ166名にのぼり、地域の農民が持続可能な形で生活する力を新たに身につけることができました。