2021年7月29日

オイスカ研修生が照らす情熱のラテンアメリカ  ― ブラジル総局 - コチア農業後継者育成プロジェクト同窓会に参加しました

  • 国内スタッフ
  • 大垣です。酷暑続きですがお元気でしょうか。オイスカに関わりのある方々でしたら、暑さも吹き飛ばす勢いで精力的に活動されている姿を想像しています。

    さて、今回のトピックは私の大好きなラテンアメリカです。先日の25日(日)、渡邉忠参事(元オイスカラテンアメリカ駐在代表)に勧めていただき、オイスカブラジル総局が主催した『コチア農業後継者育成プロジェクト』の修了生同窓会に参加させていただきました。

     

    総勢50名のコチア研修修了生が再会。全員でオイスカ研修を振り返り、その意義を語り合いました。
    総勢50名のコチア研修修了生が再会。全員でオイスカ研修を振り返り、その意義を語り合いました。

    同窓会の様子(Facebook録画):https://fb.watch/6_qEzXfbFK/

    同プロジェクトは、1993年に発足したオイスカブラジル総局と戦後日本からブラジルに移住した日系人が築いたコチア産業組合が中心となって、米州開発銀行の財政支援の下、2000~2006年にわたって実施されました。研修は主に日本の有機農業技術の習得を目的に、南米諸国(ブラジル、ボリビア、パラグアイ、チリ、コロンビア、ペルー)の青年達250名が研修を修了しました。

    コチア研修の講師を務められた長井先生。現在でも日本の農業技術に関する本をポルトガル語で出版するなど精力的に活動されています
    コチア研修の講師を務められた長井先生。現在でも日本の農業技術に関する本をポルトガル語で出版するなど精力的に活動されています

    プロジェクト詳細URL:https://oisca.org/project/brazil/

    今回の同窓会は現地代表ダニエル高木さんが企画者となり実現したものです。当日は約50名の修了生達が参加し、オイスカ研修の振り返り、研修後のキャリアなどを語り合い旧交を温めました。

    私自身、オブザーバー参加を通じて、ラテンアメリカ地域におけるオイスカ活動の意義を考える素晴らしい機会となりました。何より、多くの修了生達が有機農業技術に加えて、オイスカ研修で得た人間的成長、特に多文化生活で得た相手をリスペクトする気持ちが今でも大きな財産になっていると語っていたことが強く印象に残っています。

    現在、修了生の中には、農業指導員や、公務員、環境NGO、国際機関で働いている方々ももいます。私はいきなりブラジルでの人材育成事業の成果を目の当たりにしたわけですが、多くの修了生がオイスカスピリットを胸にコチアでの経験を糧にして、ラテンアメリカの農村開発のために腐心している様子には大きな感銘を受けました。

    プログラムでは、FAOの上級政策担当官から『中南米地域の農村開発というテーマ』で講義がありました。同地域でのオイスカ活動の意義をマクロな視点で振り返るためにも大変有意義な時間となりました。
    プログラムでは、FAOの上級政策担当官から『中南米地域の農村開発というテーマ』で講義がありました。同地域でのオイスカ活動の意義をマクロな視点で振り返るためにも大変有意義な時間となりました。

    現在の生き生きとしたオイスカブラジル総局の存在は、ラテンアメリカの青年達の未来を想って7年にわたって現地に駐在し仕事に打ち込まれた渡邉忠参事をはじめ、ブラジル総局の高木ラウルさん、その実弟でブラジル農務省高級官僚も務めた故高木オズワルドさん、そしてその甥で現在総局代表努められている高木ダニエルさん、プロジェクトに携わった多くの日系人関係者の皆様の努力によって基盤が築かれたと感じました。

    そもそも私自身、青年海外協力隊でボリビアの農村で働いていた際に得た気づきがきっかけで、オイスカに入団した経緯があります。NGOだからこそできる草の根の協力と人づくり。社会格差が広がり、政情不安が恒常化しているラテンアメリカ地域において、オイスカの人を重視したボトムアップアプローチは、蔓延するグローバル資本主義下で取り残される人達のエンパワメントに直結し、自然環境と人間生活の基盤を守る鍵となるのではないでしょうか。

    「土づくりは人づくり、そして人づくりは国づくり」と謳われます。農業技術だけでなく、自然と調和し、国籍・民族・言語・宗教・文化の違いを乗り越えて共存することを目指す心を持ったオイスカ修了生達が、いまだ大きな社会格差が存在する中南米地域のリーダーとなって、ボトムアップで各々のふるさとで産業開発を担っていることは大きな希望です。

    今年60周年を迎えるオイスカと古き良き日本の姿が受け継がれる現地の日系社会。この先、この繋がりからどのような花が咲くのか大変楽しみです。私ももっと頑張ろう!と鼓舞された修了生の姿でした。Viva America Latina!

    おまけ。ブラジル原産の果樹グアプルー(和名:シャボチカバ)。木の表面に直接フルーツが実ります。熱帯にはおもしろい植物もたくさん!
    おまけ。ブラジル原産の果樹グアプルー(和名:シャボチカバ)。木の表面に直接フルーツが実ります。熱帯にはおもしろい植物もたくさん!
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