本部・広報室の林です。
月刊「OISCA」7月号の「国際協力の現場から」のコーナーに
以前からずっと登場してもらいたいと思っていた海外スタッフに
寄稿してもらうことができました。
彼の名前はダンテ。
フィリピンのネグロスにあるバゴセンターのスタッフです。
私がオイスカ高校に勤務していた時、留学生としてやってきた彼は
あまりしゃべらず、あまり笑わず、ちょっと暗い印象の生徒でした。
決して器用ではなく、日本語の習得にも時間がかかったことが原稿にも
書かれていましたが、周囲は彼の実直な人柄を評価していました。
彼の卒業から7年目、ついに私はバゴセンターを訪ねる機会を得ました。
久しぶりに会った彼は、ちょっとはにかんだだけで握手をかわし
そっけなく、去っていってしまった。ダンテはかわらないなぁ~。
(私との再会がうれしくなかっただけかもしれませんが……泣)
うれしかったのは渡辺所長の彼に対する評価。
「彼がいないとセンターは動きません。事務仕事全般は彼に任せています。
パソコンにも詳しいし、本当に助かる。
彼の“嘘のない仕事”は日本人支援者からも支持されている」
と所長は右腕であるダンテをほめていました。
今回、日本人駐在員の協力を得ながら彼が書いてくれた原稿で
私は、彼があまりしゃべらず、
あまり笑わない青年であることの理由を知りました。
そしてダンテらしいなぁと、うるっとしてしまったのは
「自分のためではなく、支えてくださる方々や、
センターのために、勉強や学生生活を精一杯頑張ろうと
自分自身と約束した」というくだり。
あの時のあなたは、そういう気持ちだったんだね、と
当時、口には出さなかった彼の思いを知ることができ、
この原稿を書いてもらってよかったと心から思いました。
自分自身との約束をすぐ反故にしてしまう心の弱い私にとって
愚直で、心の強い彼は、私よりずっと若いけれど、
目標としたい人のひとりです。