東北タイ環境教育プロジェクト(「子供の森」計画)

場所
スリン県およびコンケン県
活動開始年
1975年
受入機関
オイスカ・タイ総局

ゾウのふるさとを守ろう
植林とともに参加型環境教育にも取り組む

 タイ王国スリン県では、かつて70%もあった森林面積が、わずか3%にまで落ち込み、現在ようやく11%まで戻ってきたところです。森林率の減少と、東北タイ地域特有の厳しい自然環境により、土壌は栄養分を失い、乾期には非常に乾燥した硬い土壌になり、雨期には洪水になってしまいます。タイの象のふるさとであるスリン県では、今でも多くの象が各地に見られますが、象たちの餌さえも不足している状態です。このような土地で環境問題に取り組んでいくには、教育から始める地道な活動が求められます。1980年代から行ってきた植林プロジェクトと同時に、子どもたちへの環境教育を通じて地域を啓発していく「子供の森」計画の活動を展開しています。

 植林活動のほか、子どもたちを集めて環境キャンプを行い、ネイチャーゲームを活用した参加型環境教育に取り組んでいます。また、各学校では野菜の有機栽培やハーブ石鹸作りなどを展開し、環境保全や地域の伝統文化を楽しく学ぶ機会を多く設けています。

近況・今後の方針

 近年では「子供の森」計画参加校の学校内で有機栽培を行い、収穫した野菜を販売したり、給食に出したりしています。この活動は、特に貧しい学生の家族を対象に行われ、生活改善も目的としています。2008年には小さな事務所兼センターの建設も行われましたが、活動には手狭になり、スタッフの地元を拠点に活動を展開しています。毎年「農業、芸術、環境祭り」と称して、多くの方が訪れ、活動に参加したり、展示を見に来たりしています。他団体とのネットワークを生かしながら、さまざまな活動に取り組んでいます。今後は、森づくりを中心としたふるさとづくりの成功例をこの地域でも作り、モデルケースとして展開していきたいと考えています。