宮城県名取市で進められている「海岸林再生プロジェクト」では、2015年度、予定していた5万本(10ha)の植栽と施肥を終えました。 4月には多雨による根腐れが、また5月以降は極端な少雨により枯死が心配されましたが、14年度に植栽された8万本と合わせ(合計26ha)順調な生育を見せています。これら植栽地の管理のため、今年度は年間2000名のボランティアを受け入れる予定です。プロジェクトを支援する企業や団体を中心に多い日は120名ほどのボランティアが参加し、草刈りなどの作業に当たっています。
今年度は海岸での植栽に加え、仙台空港付近の内陸防風林の再生活動も新たにスター
トさせました。植栽木には松枯れの原因となるマツノザイセンチュウに抵抗性のあるアカマツを選定。アカマツはクロマツほど潮への耐性が高くないものの、植栽地は海からの距離が1㎞以上あるため影響がないと考えられています。今後は下草刈りなどの保育管理を継続的に行っていきます。
5月23日にはプロジェクト始動後二度目となる「平成27年度植樹祭」(主催:名取市海岸林再生の会、 オイスカ/共催:名取市、宮城中央森林組合)が開催されました。
これは名取市民を中心とした宮城県民に植栽を体験してもらうもので、学生グループや親子連れなど約
500名が集まり、約2haに1万本のクロマツが植えられました。参加者は「震災前にあった当たり前の風景を自分の手で取り戻したい」「内陸に住む者にとっても海岸林はなくてはならないもの。少しでも再生の力になりたい」と参加の理由を語り、一人約30本を植える重労働に汗を流しました。 また、日頃は育苗に専念している「名取市海岸林再生の会」のメンバーも、苗の配布を終えると参加者の輪に加わり、自ら育てた苗を一本ずつ丁寧に植え、「このクロマツが大きくなるころには自分たちはいないと思うが、孫の世代に立派な松林を残したい」と話しました。閉会式後、参加者らは1㎞ほど離れた昨年の植栽現場を視察、元気に成長した苗を前に、「先ほど植えた25㎝ ほどの苗木がこんなに大きくなるのか」とした。驚いた様子を見せていました。
植栽は2020年まで続き、合計50万本が植えられる予定です。〝名取市民の森〞を長きにわたり市民が育んでいくための仕組みを整備しようと、現在宮城県や名取市との調整が進んでいます。年々エリアが広がる植栽地の管理にはボランティアの力や多くの皆さんの協力が欠かせません。引き続きご支援よろしくお願いします。