調査は、タジキスタンのNGOであるMSDSP(Mountain Society Development Support Program:国際的NGOであるアガハーン財団傘下の現地NGO)とのパートナーシップの下、MSDSPの実施している果樹栽培、畜産振興、農業支援などのプロジェクトをタビルダラ郡、タジカバード郡、ムーミナバード郡の3地域で視察しました。同時に各地で土壌調査、果樹の生育調査、住民グループからの聞き取り調査を実施し、今後の指導に必要なデータを得ました。調査期間中、現地の気候は大変乾燥していましたが、隅々まで張り巡らされた旧ソ連時代からの灌漑水路のおかげか、各地で果樹がたわわに実る様子を目にし、また広大な小麦の耕作地などに圧倒されました。一方で、男性の多くは4月から11月の農繁期にロシアへ出稼ぎに出かけ、女性が農作業を一手に担う苦しい生活を強いられている現状も確認し、長い冬の間は家畜の世話以外に仕事がなく、生産性が低いことも分かりました。また、厳しい気候の中、山にはほとんど森林はなく、植林の必要性が高いことが分かりました。すべてを支える土壌に関しても、計画的な土づくりが行われておらず、有機肥料や緑肥などの効果的な施肥により、作物の品質改良や収量の増加が見込まれるため、今後の技術協力のポイントになるのではないかと考えられます。