今年度から政府は新たな森林経営管理制度をスタートさせるなど、日本国内の森林を取り巻くさまざまな仕組みが大きく変わろうとしています。そうした中、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指す企業や団体などの森林関連の活動への関心も高まりを見せています。SDGsの17の目標の中には、自然環境に関わるものも多く含まれており、国連森林フォーラム(UNFF)が採択した「国連森林戦略計画2017―2030」によると、森林に関する活動は、14の目標達成に寄与することができると示されています。
2月27日に開催された「富士山の森づくり」推進協議会の総会でも、SDGsの考え方と企業の取り組みをテーマにした、at knotの檜山綾香氏の講演が行われました。檜山氏は、SDGsの達成に向けた貢献をするためには、参画企業がCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)の視点に立ち、それぞれの事業(本業)とのつながりを意識し、互いに有機的な関係性を築いていくことが重要であると述べました。また、清藤城宏会長は、台風による倒木被害の発生と いった厳しい状況に触れながらも「富士山の森づくり」は、森林や生態系の保全にとどまらず、SDGsのうち12の目標の達成にもつながる重要な取り組みであることを強調。推進協議会で一致団結して、引き続き活動をしていくことが確認されました。
一方、オイスカでは、森林を持たない地域においても、その保全に寄与できる取り組みとして「森のつみ木広場」(以下、広場)を展開しており、2月23日には東京都品川区におけるインストラクター養成講座を開催しました。この日使ったのは、同区が所有する山梨県早川町産材のつみ木1万個。これは、「ふるさと交流協定」を結ぶ早川町から、締結25周年を機に贈られたものです。品川区では、これまでオイスカと連携をして広場を開催してきましたが、地域の力でさらに活動の裾野を広げたいとの思いから今回の養成講座が実現しました。地域に密着して子どもの生活を見守っている区内の児童館の職員を中心に、今年度「赤ちゃん木育ひろば」事業で木育おもちゃセットの寄贈を受けた区内の子育て支援グループのメンバーなどが参加しました。
講座の前半は、担当スタッフから日本の森林の現状や直面している問題、また広場がその解決の一助となる仕組みなどについて説明がなされ、活動の意義を理解してもらいました。続いて行われたつみ木のシャワーに始まる広場の体験には、会場となった水神児童館に遊びにきていた小学生らも加わり、さまざまな作品が完成。大人にも子どもにも広場の楽しさが伝わる講座となりました。