オイスカでは、日本各地の森林が放置され荒廃している状況を改善するためには、国産木材の活用推進が必要と考え、さまざまな活動を進めています。
やまなし水源地ブランド 推進協議会がシンポジウム開催
「やまなし水源地ブランド推進協議会」は、山村地域の木材や食材などの魅力を発信するため、2012年5月に発足しました。山梨県早川町・丹波山村・道志村の3町村が中心となり、地域の林業担い手の連合体であるNPO「木netやまなし」や㈱イトーキなど産官民の協働により、東京都・神奈川県・静岡県の水源である山村地域の魅力を都市部へ発信するため、現在、デザイン性の高い家具の製品開発を進めています。
㈱イトーキのノウハウを活かして製作されている家具には、同地の木材の特質や鹿革に漆で模様をつける「甲州印伝」などの伝統技法を活用し、付加価値を高めることも図られています。2月19日には、活動の成果発信のシンポジウムを開催し、約170名の参加を得ました。東京大学名誉教授の養老孟司氏に「水源林と共に活きる」として基調講演をしていただいたほか、3町村首長や総務省、林野庁、㈱イトーキによる過疎化対策に関するパネルディスカッションを行い、山村地域が抱える課題解決に向けて、都市部とともに森林資源の活用に取り組むことの重要性を確認しました。また懇親会では、シカ肉など各町村の特産品がイタリア料理のシェフによって調理され、振る舞われました。
子育て支援団体のイベントで「森のつみ木広場」開催
「森のつみ木広場」は、ヒノキやスギの間伐材で作られた無垢のつみ木に触れることを通して自然に親しむと同時に、クイズや紙芝居などで日本の森について考えてもらうプログラムです。昨年度は全国各地100ヵ所以上で開催し、それぞれの地域産の間伐材を使ったつみ木も製作されています。3月10日には、オイスカ本部のある東京都杉並区で行われた「第8回すぎなみ子ども・子育てメッセ」で「森のつみ木広場」を開催。 このイベントは子育て支援に取り組む団体などが参加するもので、子どもだけでなく、大人にも好評でした。つみ木がぶつかり合う音が気に入って楽器のように鳴らしている子や、一つひとつのつみ木にさまざまな色や形、年輪や節などの特徴があることを発見した子もいました。また保護者にとってもあらためて木のぬくもりや優しさに触れ、森林保全の重要性を考える機会となりました。
乳幼児に木との触れ合いを「赤ちゃん木育広場」
今年度からは、乳幼児とその保護者を対象とした「赤ちゃん木育広場」普及事業も開始しました。サミット㈱の支援により開始したこの広場は、乳幼児にとってはおもちゃとの触れ合いを通して木のぬくもりを知る原体験となり、また、保護者にとっては木育の重要性と併せて国産材利用への理解を深めてもらう機会となります。木育おもちゃセットの一部には、同社と協働で森林保全活動を進める山梨県丹波山村の材が活用されます。こうしたおもちゃを製作できる職人は年々減ってきており、この事業を通じて技術の継承と国産材利用の促進も期待されます。(詳細はこちら)