オイスカは、公益財団法人として新たなスタートを切ることになりました。去る1月21日付で公益認定等委員会から内閣総理大臣に対し、財団法人オイスカへの公益認定は妥当である旨の答申がなされました。これを受けて内閣府から正式に認定がなされ、財団法人オイスカは2月1日に解散登記を、同時に「公益財団法人オイスカ」の設立登記を行いました。
2008年12月1日に公益法人関連三法が施行されすでに2年余が経過しましたが、オイスカは07年3月の理事会で「公益財団法人」への移行を機関決定して以来、公益認定の申請に向けて準備を開始。10年5月末日付で内閣府に対して公益認定の申請をしていました。その後、約8ヵ月間におよぶ厳しい審査を経て、ようやく認定に至りました。
公益法人関連三法の成立による公益法人改革は、①民間非営利部門の活動の健全な発展を促進し民による公益の増進に寄与する、②これまでの主務官庁の裁量に基づく許可の不透明性や従来の制度による問題点の解決――等を主目的とし、民の力による新たな公共の担い手として発展していくことを目指したものです。
公益財団法人としてオイスカは、運営の基本的なルール等を定めた定款および付随する諸規程をこの関連法に則って整備。法人としての業務執行、監査、監督等それぞれの役割と責任を明確にしたガバナンスを通じ、今まで以上に社会的責任を果たしながら、わが国はもとより広く国際社会に貢献していくことを目指しています。
ちなみに定款第3条(目的)では、「この法人は、国連経済社会理事会の諮問資格を有するオイスカ・インターナショナルの理念と精神に基づき、開発途上諸国に対する産業開発協力事業の推進および地球環境保全等に関する事業を行い、これら諸国との友好親善および広く地球社会の持続可能な発展に寄与することを目的とする」と謳い、この目的を達成するために第4条(事業)に沿って、①海外開発協力事業、②「子供の森」計画事業、③人材育成事業、および国内での環境保全や各種の意識啓発活動、国際交流等を包含した④啓発普及事業――の4つの公益目的事業を実施していきます。
新たなスタートを切りましたが、その目指すところは50年前の創立以来一貫しており、理念と精神は不変です。また財政面でオイスカは各界各層の幅広い法人・個人による賛助会費や寄附で支えられており、引き続きその輪の広がりを通じ、あるべき地球社会の実現に一歩でも近づいていくよう努めることが法人としての使命であると考えています。
国際的な協力活動を日本の公益法人として担っていく立場からその取り巻く環境を見た時、中進国の台頭による国際社会の急速な変化の一方で、遺憾ながらわが国は衰退の方向へ向かいつつあり、漠然とした不安感に覆われている現状があります。厳しい状況ではありますが、これからは単に経済力だけではなく、世界から尊敬と信頼を得られるような凛とした生き方や施策がわが国には求められています。
オイスカは、そうした視点を意識しながら、今後もなお一層、豊かな日本の自然と文化が培ってきた価値観に自信と誇りを持ち、新しい時代を切り拓くために国際社会に発信を続けていきたいと思います。