2009年2月9日

ミャンマー・サイクロン災害 復興支援最終報告 農民の努力が実った喜びの収穫

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  • 種籾の配布後、農家と苗の生育状況の確認を行う。苗は20cm以上と 順調に生育していた(08年7月17日。右端はミャンマー農林業研修センター・藤原啓介開発技術員)
    種籾の配布後、農家と苗の生育状況の確認を行う。苗は20cm以上と 順調に生育していた(08年7月17日。右端はミャンマー農林業研修センター・藤原啓介開発技術員)

    2008年5月2日から3日にかけて、ミャンマー南部の穀倉地帯に甚大な被害をもたらしたサイクロン・ナルギス。その被災者の多くが農民であったことから、オイスカでは農業復興支援の一環として、6月末から7月中旬にかけてエヤワディ管区デダイ地区の27ヵ村890農家世帯に対し、合計約87トンのローカル品種の種籾を配布しました。

    しかし、播種の際に、例年になく異常発生した害虫の被害により、一部の農家が3~4回の蒔き直しを余儀なくされていました。この事態で種籾や殺虫剤購入のための出費がかさみ、収穫までにかかる費用の捻出が困難となっている農家があることがわかりました。そこでオイスカはその支援策として小規模融資の導入を決定。種籾を配布した村々の中から対象を6村に絞り、計314農家世帯に対し低利子で6ヵ月間(08年8月~09年2月)の貸付を実施しました。貸付金が完済された後には、利子の9割を各村における復興事業資金として還元することになっています。
    9月下旬には、害虫の被害を乗り切った苗が青々と広がっている様子を確認でき、農家からも「融資で肥料を買えたおかげで稲が順調に育っている」と喜びの声を聞くことができました。そして11月の下旬から、各村で稲刈りをする風景が見られるようになりました。例年に比べると収量減の見込みではあるものの、作付けすら危ぶまれていたサイクロン直後の状況から考えると、諦めずに作業を続けた農家の努力が実を結んだと言えるのではないでしょうか。しかし、海に近い地域では塩害により出穂後に稲が枯れるという現象が多発している村もあり、農家の生計への追い撃ち的影響が懸念されます。そのため、オイスカでは小規模融資や土壌改善技術普及などの支援を継続していく予定です。

    農業復興支援と並行して、長期的な農家支援を目差し研修センターで品種改良を行い、周辺地域でも普及しつつある高収量高品質の「オイスカ米」を、篤農家の協力の下で試験栽培しました。10月下旬から始まった収穫の結果から、これらの品種は被災地にも適した品種であることが確認され、篤農家のもとに種を買いに来る周辺農家も少なくありません。今後、乾季作でも対象地の環境に適したより効果的な栽培法を模索するべく、引き続き試験栽培を行います。

    「オイスカ米」を試験栽培した篤農家の田んぼにて。稲は順調に出穂して見事に育っている。
    「オイスカ米」を試験栽培した篤農家の田んぼにて。稲は順調に出穂して見事に育っている。
    黄金色に育った稲を刈り取る農民の様子。サイクロン被害の直後から力を合わせて取り組んだ農民の努力が実った瞬間。
    黄金色に育った稲を刈り取る農民の様子。サイクロン被害の直後から力を合わせて取り組んだ農民の努力が実った瞬間。
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