各国に広がりを見せる「子供の森」計画(以下、CFP)が、南太平洋に浮かぶ島国トンガでも実施されました。首都ヌクアロファがあるトンガタプ島で農業省の職員として働くフィナウさんは、2010年に四国研修センターで研修を受けた研修生OBで、帰国後はコミュニティへの野菜栽培普及など積極的な取り組みを行っています。
13年9月、同国におけるCFPをスタートさせた一人が、そのフィナウさんです。先般、フィジー駐在員が研修生OBフォローアップのため出張の際、互いに近況報告などをする中でCFPのコンセプトや狙い、その意義を知ったのがきっかけでした。フィナウさんは「CFPはトンガの子どもたちにとって必要な学びの機会」と考え、政府の林業局や学校の保護者を巻き込み、トンガ自生の木や果樹の植林を実施しました。
同じころ、トンガタプ島から飛行機で1時間ほど離れたババウ島でも、CFPが動き出していました。中心となったのは10年に中部日本研修センターで学んだトニ氏です。 同氏は現在チャネル・カレッジで農業を教えています。かねてからふるさとでCFPをスタートさせたいという思いを抱いていましたが、トンガにはオイスカのセンターや事務所はなく協力者や相談相手が不在で、なかなか実現できない状況にありました。フィジー駐在員が同国を訪れたのを機に、共に校長やババウ島の林業局職員と打ち合わせを行い、周囲の協力を得ながら、子どもたちとの植林を実施。トンガでは放し飼いにされている豚が植物にダメージを与えていることから、生徒と一緒に柵として使える木を集め、植樹した木に一本一本、囲いを作っています。
フィナウさん、トニ氏とも、木や森が人間にもたらす恩恵や木を育てることの大変さ、必要性を活動を通して子どもたちに伝えています。トンガでのCFPは、日本で学んだ研修生OBの主体的な動きから実施されたものです。彼らの動きを見守りながら、 引き続き同国でのCFPを進めていきます。