7月12~19日、「子供の森」計画参加校の代表として、タイ北部チェンライ県の農村部から児童(小学6年生)4名を招聘し、東京都、山梨県、神奈川県で「子ども親善大使プログラム」を実施しました。子どもたちは、日本の支援者の皆さまに活動報告をし、交流活動を行うとともに、日本の水源地における森づくりの現場や学校林活動に取り組む小学校などを訪れ、日本の森づくりについて学びました。
子どもたちのふるさとであるタイ北部では、伐採や焼畑、山火事などによる森林の減少が深刻な問題となっています。同地域の森林破壊は水不足や土砂崩れを招き、地域住民の生活に影響を及ぼすだけでなく、600㎞も離れたタイ南部・アユタヤ地方で発生した2011年の大洪水の一因ともいわれています。そういった背景もあり、一行はオイスカが山梨県丹波山村や支援企業と協働で行う同村の森づくりの現場を視察。緑あふれる森が水を蓄え首都圏の水源となっている様子や、洪水などの自然災害を食い止める機能があることなど、森林が持つ役割を自らの目で見ることができました。
豊かな森を維持するためには、枝打ちや間伐といった人の手による管理が必要であることを丹波山村で学んだ子どもたちは、同村の小学校や東京おもちゃ美術館(東京都新宿区)で、その間伐材が学校の机やつみ木、木育おもちゃなど身近な生活の場や教育の一環として利用されていることを知り、森の循環利用の大切さについても学びを深めました。17日には、学校林活動を行う神奈川県の横浜市立谷本小学校で6年生80名と交流授業を実施。同校の学校林“谷本の森”に育つ樹木の種類や生き物について説明を受けたり、木を用いてつくられる炭の効能やその文化的背景などを教わりました。
親善大使の一人ジャッグ君(11歳)は、「お父さんから、昔、僕たちの村で大洪水が起き、家や畑、学校などが流され大勢の死者が出たと聞いたことがある。木を植え森を育てていくことは、洪水や干ばつから村を守るために必要なことだとあらためて感じた。タイに戻ったら、日本のように美しい緑がたくさんある山づくりをしたい。学校の友達にも日本の森のこと、家や学校での木の活用について教えてあげたい」といった感想を述べていました。ふるさとにおける「子供の森」計画活動への、新たな意欲とヒントを得たようです。 今回のプログラムを通し、子どもたちは自国の山と日本の現状との違いに驚きながらも、人と自然が共に生き豊かに暮らしていくための多くの知恵や知識を得ることができました。そしてそれは、子どもたちがふるさとに帰り、日本で経験したことを活かしながら、さらなる植林活動や啓発活動に取り組む上で大きな力となることでしょう。