2017年4月5日

オイスカ・ブラジル 水源林を育む取り組み始動 サンパウロ州政府も協力

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  • 地域の子どもたちと記念植樹に参加する中野総裁(前列右から3番目)
    地域の子どもたちと記念植樹に参加する中野総裁(前列右から3番目)

     

    日本の約23倍もの広大な国土を持つブラジルで、オイスカ・ブラジル総局は高木ラウル会長の下、さまざまな緑化活動に取り組んでいます。1月には、サンパウロ州クーニャ市で新たな植林プロジェクトをスタートさせました。これは2015年12月にパリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で、ブラジル政府が発表した「30年までに全国で1200万haに植林をする」との国際公約を受けたものです。同州政府も中央政府の決定に連動し、600万本の植林を目標に掲げており、プロジェクトではそのうちの50万本を担うことになります。

     

     州政府から提供された浄水タンク。設置費用も州政府が負担している

    州政府から提供された浄水タンク。設置費用も州政府が負担している


    クーニャはサンパウロ市の中心部から北東約250㎞、平均海抜1300mの高原地帯にあります。サンパウロ州およびリオデジャネイロ州、ミナスジェライス州を流れる大河の源流を有しており、下流域となる都市部での水資源の確保という観点から水源林の造成が急務となっています。また、家庭排水や酪農による汚水などに起因する河川の汚染も問題視されており、プロジェクトではサンパウロ州政府の無償資金協力を受けて、植林に参加する約300戸の小農家に浄水タンクの設置を進めています。総局では08年に日本人の移住100周年を記念してブラジル・ニッポン移住者協会らと共に「日伯・友情の森づくり」を立ち上げ、12年までに10万本の在来種を植林した実績があります。それに伴う育苗にも力を入れていたことから、新プロジェクトへの苗木調達もスムーズに行われています。担当する高木オズワルド氏は、連邦政府農務省に勤務していた経験を活かし、住民の意識啓発や州政府との調整に奔走しており、「下流域の住民のことを考える人は皆無だったが、今は植林や家庭排水の浄化などに対する理解が深まっている。小農家の支援と植林を同時に進めるこのプロジェクトをモデルにして州内に活動を広げたい」と意欲を見せています。

     

     

     

    プロジェクト担当の高木氏(左)。地域コーディネーターとして日々活動する農学博士のアリーン・ゴメス・カルファビアンコ女史(右)の専門は環境および有機農業で、参加する農家からの信頼も厚い
    プロジェクト担当の高木氏(左)。地域コーディネーターとして日々活動する農学博士のアリーン・ゴメス・カルファビアンコ女史(右)の専門は環境および有機農業で、参加する農家からの信頼も厚い

    1月下旬にはオイスカ・インターナショナルの中野良子総裁が訪伯、キックオフに立ち会い参加住民らと共に記念植樹を行いました。また在サンパウロ日本国総領事館を訪れ、中前隆博総領事を表敬したほか、ブラジル日本商工会議所、サンパウロ大学などを訪問。各種日系団体との交流を深めるとともに、日本語で発行されているニッケイ、サンパウロの各日刊紙のインタビューに答え、新たなプロジェクトでの取り組みを紹介するなど精力的に発信を行い、同国でのオイスカ活動の盛り上がりに力を添えました。

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