7月14〜19日、米州開発銀行(IDB)とオイスカ・ブラジル総局(以下、総局)の合同視察団が、ブラジルで予定している海藻を養殖する新たなプロジェクトの事前調査を行いました。
このプロジェクトは、漁業従事者の生活向上を目的とし、海の環境を整えることで同国沿岸地域の漁獲量の減少を食い止めようと、IDBが打ち出したものです。近年、ブルーカーボンに注目が集まりつつある中、海藻の養殖は海水の清浄化のみならず、地球温暖化対策として期待が寄せられています。IDBは、このブルーカーボンの働きに着目し、プロジェクトを立案。水源地での植林などで実績のある総局に協力を要請しました。
今回の調査では、サンパウロとリオ・デ・ジャネイロにまたがる約400㎞のブラジル海岸への海藻の植栽を想定し、IDBと総局から計8名がプロジェクト予定地を訪問。地元漁業組合、漁業従事者、地方自治体、水産研究所などで聞き取り調査を行いました。環境保全への関心の高さに加え、エビ・カニなどを含む魚介類の生息が増えることへの期待の声が多く聞かれました。
2017年開催の国連海洋会議では、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の達成を強調する「行動のよびかけ」が各国間で合意され、その中にはブルーカーボンの保護や、それによる持続的な漁業管理の強化が盛り込まれています。
今後、ブラジル政府の許可が下り次第活動の本格化が見込まれる中、総局の新たな役割が急速に浮上してきています。
※海の生物や海藻などが吸収する二酸化炭素層