7月6日から1週間、オイスカ・インターナショナルの中野良子総裁がタイを訪問し、11日には、日本国内の研修センターを巣立った50名を超える研修生OBがタイ全土から首都バンコクに集まりました。 同国から初めて研修生が来日したのは1976年。以来、今日まで日本で学んだ研修生は100名を超えます。その一人であるワラシリ・ヲラウット氏は、同国で最初の研修センターが設立された東部スリン県で小学校の校長を務めており、同じく研修生OBで別の学校で教職につく夫人とともに駆けつけました。タイ語の通訳を務めたのは、オイスカ高校に留学経験のあるサマイ・スィールアンさんでした。 同国で研修生OBが一堂に会するのは、これが初めてのことです。日本への派遣開始から30数年が過ぎ、オイスカ・タイ総局がOBたちの集まる機会をうかがっていた矢先、中野総裁のタイ訪問が決定。彼らは総裁の激励の言葉に意を強くし、同窓会を立ち上げようと大いに盛り上がりました。日本の研修で磨いた能力を生かし、着実に歩みを進める彼らからは、2011年に迎えるオイスカ創立50周年に役立ててほしいと自主的に浄財が集められ、中野総裁に手渡されました。
研修生OBとの面談の前には、オイスカバンコク日本語幼稚園を訪問しました。また「中野総裁と語るタイの夕べ」が同じバンコクで催され、日本人会、企業、商社、報道機関関係者ら約100名の在留邦人が参加。中野総裁がオイスカの理念とそれに基づく活動、オイスカがタイとかかわり始めた経緯などを紹介しました。
さらに中野総裁は、バンコクから南に約600㎞の海岸地帯にあるラノーン県で、マングローブ植林地の視察も行いました。オイスカはタイ総局を通じ、東京海上日動火災保険㈱をはじめ多くの日系企業、労働組合、NGO、オイスカ国内支部支局などの支援や参加を得て、この地で本格的なマングローブ植林プロジェクトに取り組んでいます。タイ国王即位50周年を記念し2000年にスタートした植林は1231haまでに広がり、見事な生育を見せていました。今回は地元住民や小学生たちとともに3000本を植林しました。また、中野総裁には政府機関である海洋・沿岸資源局マングローブ管理局より現地で行われている活動に関する説明が行われ、同管理局とラノーン県庁、オイスカ・タイ総局の三者連携がしっかり行われていることも確認することができました。
中野総裁は訪問の最終日となった12日午後、タイ外務省でカシット・ピロム外相と会見しました。会見の冒頭に総裁は、75年に始まった同国におけるオイスカの活動が今年35年目を迎えたことを踏まえ、同国政府とオイスカ・インターナショナルで基本協約を締結することを提案。同外相は10 年ほど前に駐日大使の任にあり、オイスカに対する理解が深い人物でもあることから、今回この提案への合意を得ることができました。今後この基本協約のもと、タイでのオイスカの活動がさらに広がることが期待されます。