■2020年度人材育成事業
11ヵ国・地域26名が3センターで研修
先輩&後輩研修生が共に学ぶ姿も
1月31日から2月1日にかけ、中部日本研修センター(以下、中部センター)および西日本研修センター(以下、西日本センター)に、また四国研修センターには2月12・13日に、2020年度の研修生が入国しました。今年度は11ヵ国・地域の26名が3センターで農業などを学びます。
例年、前年度の研修生の帰国後の入国となる新研修生ですが、今年は中部と西日本の2センターで、〝先輩〞が〝後輩〞を迎えることとなり、日本の生活への戸惑いを見せる後輩たちを、先輩たちがさまざまな形でサポートする姿が見られました。
中部センターでは、2月8日に19年度の研修修了式を開催。1年間の農業研修を終えた3名は、巣立っていく研修生の門出を祝おうと集まった会員の皆さんの前で、帰国後のアクションプランを発表、日本での学びを活かした今後の活躍を誓いました。またこの日は、来日したばかりの3名の研修生も慣れない日本語で自己紹介をし、これからお世話になる会員の皆さんと初めて対面する機会にもなりました。
西日本センターでは、2月22日に11ヵ国・地域の18名が修了式に臨みました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国では大勢の人が集まる行事の開催が相次いで中止となる中、全員がマスクを着用して式典に参加。約170名の会員・支援者の皆さんに見守られて修了証を受け取りました。研修生を代表し、バングラデシュのカトゥン・ムサンモトゥ・ナズマが謝辞を述べると、1年間、共に過ごした日本での生活を振り返り、涙を流す研修生の姿も見られました。
今回研修を終えた研修生のうち、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の支援による環境保全型有機農業指導者育成研修コースで学んできた10名は、同社で開催される修了式および従業員とその家族との交流会に合わせて3月初めに上京し、首都圏支部の会員を対象にした活動報告会や懇親会、都内の小学校での交流会などへの参加も予定していました。しかし、いずれの行事も取りやめとなったことを受け、上京を中止。帰国のフライトやスケジュールを変更するなどの対応に追われましたが、それぞれに別れを惜しみながら、全員が無事帰国の途につきました。
研修生たちの母国での活躍を期待しています。
■「森のつみ木広場」のワークショップ開催
つみ木の意義を再確認!
2月14日、オイスカ本部がある東京都杉並区の区立八成小学校で「森のつみ木広場」(以下、広場)のワークショップを実施し、1年生85名、2年生93名が、学年ごとに1時間半たっぷりとつみ木で遊びました。長方形のつみ木をずらしながら重ねて、らせん階段のようにしたり、台形を並べたアーチ形の門をつくったり、工夫を凝らしながら夢中で作品づくりをする姿が見られました。
先生方からは、「つみ木の形がシンプルだからこそ、形に規則性を見出したり、バランスを工夫したりできるのだと思う」「遊びを通じて、友達との関わりが生まれるのもつみ木のよさ」といった声が聞かれたほか、これまで環境教育の一環と捉えて開催してきたこの広場が、図工や算数、社会といった教科の学習の中でも展開できる可能性があるといった貴重な意見も寄せられました。
広場を担当する啓発普及部の野木麻美は「先生から、『つみ木が、山にある木からできているということがすぐに分からない子どももいる。丸太など実物があるともっとイメージしやすい』とのコメントがあり、都会の子どもたちにとって木や森がこれほどまでに遠い存在となっていることを知り、驚いた。だからこそ、広場を通じて自然や森を身近に感じてもらうことの意義は大きい。今後も積極的に活動を推進していきたい」と話しています。
■日本福祉大学留学生がオイスカの現場で研修
2月17〜27日の11日間、中部日本研修センター(以下、センター)で日本福祉大学の留学生15名がフィールドワークに参加しました。これは同大学が海外からの留学生のために企画したプログラムで、学内だけの学びにとどまらず、さまざまな視察や交流活動などの体験を通じて、視野を広げることを目的にしたものです。今回参加したのはベトナム、中国、スリランカからの留学生で、センターで学ぶ研修生と共に寝起きする、合宿スタイルの研修を体験しました。
センターでは、毎年4月にオイスカの法人会員を中心とした企業の新入社員を対象とする、国際青年養成講座を行っており、今回はそのノウハウを活かした研修を企画。オイスカが日頃から行っている森づくりや、農業の現場体験を多く盛り込みつつ、地元の会員の協力を得ながら、茶道などの体験をしたり、トヨタ自動車の工場見学なども行う、充実した研修内容となりました。
参加者からは、「大学では学ぶことのなかった多くのものが得られた」「初めて体験した林業や農業などが印象に残った」といった声が聞かれました。
また、規律ある生活の中で、研修生たちが国籍の違う仲間たちと互いに協力しながら研修に取り組む姿に刺激を受けた様子でした。
小杉裕一郎所長は「参加した留学生たちは日本語も堪能で、意欲的に学んでおり、研修生にもよい影響を与えてくれたと思う。今後も積極的にこうした研修を受け入れていきたい」と話しています。