■コロナ禍でも活動が進む 「富士山の森づくり」森の成長過程を知る鳥の調査もスタート
山梨県で進む「富士山の森づくり」の活動地では、例年、春から秋にかけてオイスカ会員をはじめ、富士山の森づくり推進協議会に参画する企業・団体からボランティアが、苗木のメンテナンスや除伐といった育林作業を体験しています。2019年度は10企業・団体、約880名がそうした活動に参加しましたが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でボランティア活動の中止を余儀なくされているため、地元の林業者の協力を得て、必要な育林活動を継続しています。7月12・13日にはボランティアにて行う予定だった鳥類調査を、山階鳥類研究所の森本元氏の指導のもと、オイスカスタッフのみで行いました。これは、今年度新たにスタートした取り組みで、植栽エリアの10地点で鳥(ウグイス)のさえずりを判別することによる個体数調査を行い、その数の変化を年々追いながら、森の成長過程を考察するのが目的です。参加したスタッフは「鳥になじみはなかったが、静かに耳を澄ますとウグイスやカッコウ、そのほかさまざまな鳥や生き物の声を拾うことができた」と話し、森をすみかとする生き物への興味が湧き、自然への意識の変化を感じたといいます。
また同22日には、オイスカ四国研修センターと中部日本研修センターのスタッフ・研修生ら約20名が活動地を訪れ、除伐作業を行いました。作業時もマスクを着用し、間隔を空けるなどの工夫をしたほか、道具の消毒を徹底するなど、新型コロナウイルスの感染予防対策を講じての活動となりました。初めてノコギリに触れるという研修生もいましたが、指導員に「先生、これはどうしますか?」などと質問をしながら一生懸命作業する姿が見られました。中部日本研修センターの研修生ライは、「私の国フィジーでは、木を切っても植えることはない。富士山では木を植え、その木がしっかり育つように管理を行っていて勉強になった」と感想を述べました。この日は、雲がかかってしまい、山頂を拝めなかったものの、研修生は憧れの富士山での活動を楽しんだ様子でした。
今回はボランティアの受け入れを中止していた中での活動となりましたが、特別定額給付金を受け取った四国研修センターの研修生らが、有意義な活用として富士山での活動を強く望んでいたことを受け、「今後の学びや帰国後の活動につながれば」との期待から実現したものです。
担当スタッフは「私たち自身も今年はなかなか現場に足を運べない。大きく育った木が風で倒れているところもあり、すぐにでも手を入れる必要があるが、自分たちだけでは限界がある。ボランティアの皆さんの力の大きさをあらためて感じる」と、これまで活動に参加してきたボランティアへの感謝の思いを深めていました。
■オイスカ愛媛の森づくり研修生も下刈りに参加
7月20日、愛媛県推進協議会は、松山市の忽那山で進める森づくり「Mt.LOVE10」の活動を行いました。宮嶋嘉則会長をはじめとする役員や会員のほか、四国研修センターの研修生も応援に駆けつけました。梅雨の合間の晴天で暑さが厳しい中、植栽地の下草刈りを実施。また、植栽したサクラに巻き付くツルを切るなどの作業で汗を流しました。
例年は、会員や地域の方々との交流の機会が多い研修生ですが、今年はコロナ禍で外部でのイベントへの参加の機会が少なかったため、今回の活動は、会員の皆さんと直接交流できる貴重な場となりました。