2020年12月3日

【国内ニュース】「富士山の森づくり」推進協議会全国育樹活動コンクールで林野庁長官賞 ほか

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     全国育樹活動コンクールで林野庁長官賞

    「富士山の森づくり」推進協議会(事務局:オイスカ/以下、協議会)が、全国育樹活動コンクール団体の部で、山梨県からの推薦により、林野庁長官賞に選ばれました。本コンクールは 国土緑化推進機構(以下、国土緑推)が実施するもので、森林や樹木の保全、保護などの活動を通じて、国土緑化の推進に貢献した個人や団体が自治体から推薦され、表彰されるものです。

    10月17日、協議会の清藤城宏会長が、山梨県の林業まつり記念式典で賞状を受け取り、「2007年から多くのステークホルダーと協働してきた森づくり活動が広く認められてうれしい。協議会メンバーたちと喜びを共有したい」と述べています。また、推薦者の山梨県からは、「もっと早く受賞していてもおかしくなかった」、協議会メンバーの企業担当者からは、「自分たちの活動も一助となったことをみんなで喜びたい。活動が再開できる日が訪れることを心待ちにしている」といった声が届いています。

    賞状を手にする清藤先生

    なお、10年より同活動に参加してきた甲府市立甲運小学校も、山梨県環境保全功績者として県知事より表彰されました。また、国土緑推が実施する「ふれあいの森林づくり」において東急ホテルズ㈱との協働で森づくりを進めてきた丹波山村が国土緑推会長賞を受賞。さらにオルビス㈱が、「甲州市・オルビスの森」の里山再生事業で環境大臣賞(地域環境美化功績者表彰)を受賞するなど、コロナ禍で活動が制限される中、これまで各地で取り組んできた協働による森づくりが評価され、オイスカ活動の意義をあらためて共有する機会となりました。

    中部日本研修センタートヨタ工業学園が農業実習

    9月7〜10日の4日間、中部日本研修センターではトヨタ工業学園専門部の学園生約130名を受け入れ、研修を行いました。同学園は、40年以上にわたり会員としてオイスカ活動を支えているトヨタ自動車㈱が運営する学園で、学生は寮生活を送りながら、トヨタの技能を習得するほか、心身の鍛錬を積んでいます。

    今回研修に参加した専門部の学園生は、全国の工業高校を卒業した青年たちで、農業にはなじみがないものの、センターの農場でジャガイモの植え付け、キャベツの定植、ネギの土寄せといった農業実習を体験しました。同学園では、異業種を体験することで感謝の心を養う教育も行っており、農作業を体験した学園生からは「農業の大変さに驚いた」「生産者や流通販売業者、両親に感謝して食事をとりたい」といった声が聞かれました。

    農作業の様子

    同センターの小杉裕一郎所長は、「トヨタ工業学園は、現場を支えるトヨタマンを育てる〝道場〞といった印象を持った。互いに声をかけ合って、キビキビと作業に取り組む学園生たちの姿に、研修生も刺激を受けていた。オイスカの人材育成を担うセンターにと
    っても参考になる点が多かった」と述べていました。

    例年センターでは、会員企業の新入社員研修や大学のフィールドワークなど、多くの日本人青年向けのプログラムを受け入れていますが、今年はコロナ禍で中止を余儀なくされていました。そうした中、久々に若者が集ったセンターには活気があふれ、研修生にとっても貴重な交流の機会となりました。

    林野庁シンポジウムにパネリスト参加

    10月7日、林野庁が主催する第58回治山シンポジウムがオンラインで実施され、吉田俊通「海岸林再生プロジェクト」担当部長が話題提供役となり、パネリストとしてディスカッションなどに参加しました。シンポジウムは、東日5 December 2020 OISCA | OISCA NEWSタイから贈られたゾウが上野動物園で出産高松北高校33名が「海岸林再生プロジェクト」視察研修を実施当日のプレゼンテーションからの一コマウタイと生まれたばかりの赤ちゃんゾウ/(公財)東京動物園協会提供本大震災から10年が経過しようとしている今、津波の被害を軽減する強い海岸防災林をつくるためのこれまでの取り組みと、今後の課題の共有をテーマに行われたものです。

    当日のプレゼンテーションからの一コマ

    吉田は、国が打ち出した海岸防災林復興計画にNGOならではの方法で協力するという、プロジェクトとしての基本的な考えや、育苗を担う「名取市海岸林再生の会」と共に活動しながら積み上げてきたこれまでの実績について発表。あわせて、現場で結果を出すことを最優先に取り組む中で確立した、 育苗や海岸における植栽の技術についても紹介しました。

    シンポジウムは、行政関係者、研究者、コンサルタント会社などを対象に非公開で行われたものながら約700名が参加。吉田は「日本では明治時代以降、100年の年月をかけて治山を進めてきた甲斐があり、国土全体に広がっていたはげ山や荒野が、森林による巨大インフラとなって災害を軽減し、地球温暖化にも対応しうるものになってきている。58回も続く伝統あるシンポジウムで、話題提供役としてオイスカと当プロジェクトが指名されたことを、光栄に思う」と話し、「これまでオイスカでも進めてきたEco -DRR(森林などの生態系を活用した防災・減災)の取り組みを、国内外のプロジェクトにおいてさらに発展させていきたい」と意気込みを語りました。

    タイから贈られたゾウが上野動物園で出産

    10月31日、東京の上野動物園で、アジアゾウのウタイがオスの赤ちゃんを出産しました。このゾウは、2002年10月にタイから日本に来た2頭のゾウの1頭(本誌10月号で紹介。オスのアティは結核で8月に死亡)です。オイスカが20年以上の長きにわたり、スリン県で植林支援を行ってきたことへのお礼にと、当時のスリン県知事が寄贈を決めたもので、 愛子内親王ご誕生(01年)の機会に「日本国民へ友好のしるし」として贈られました。

    同園によると、ゾウの出産は開園以来初めてで、関係者にも喜びが広がっています。知らせを受けたオイスカ・タイのスタッフからも「赤ちゃんのお父さんとなるはずだったアティの死を悲しむとともに、妊娠中のウタイのことが心配だった。無事生まれてよかった」と、安堵の声が寄せられました。

    また、11月19〜22日にスリン県で行われたゾウ祭り(毎年周辺地域から200頭以上のゾウが集まる)では、ウタイが出産したことがアナウンスされ、大いに盛り上がりました。

    ウタイと生まれたばかりの赤ちゃんゾウ/ (公財)東京動物園協会提供

    動物園によると、11月2日からは自力で母乳を飲めるようになり、順調に体重が増加しているそうです。日本とタイの友好の象徴として、元気に成長してくれることを期待しています。

    高松北高校33名が「海岸林再生プロジェクト」視察研修を実施

    11月2日、香川県立高松北高校の生徒ら33名が宮城県名取市で進む「海岸林再生プロジェクト」(以下、プロジェクト)を訪れました。
    同校では、香川県にあるオイスカ四国研修センターの行事に教員や生徒らが参加するなど、これまでもオイスカの活動に関わりがありましたが、プロジェクへの参加は初めてのこと。
    生徒らは今年植えられたばかりのクロマツの植栽地で、排水溝の補修作業を体験しました。植栽地の水はけが悪いとクロマツの成長に影響を及ぼすことから、プロジェクトでは年間を通じて排水溝の補修(崩れたり、 砂で埋まったりしている溝を掘り直す)や新たに溝を掘る作業をボランティア活動として実施していますが、今年はコロナ禍でボランティアの受け入れができず、本格的な排水路補修はこれが初めてとなりました。慣れないスコップを使いながら、200m以上の溝を補修した生徒から「これからも頑張ってください」とエールを贈られ、一緒に作業したスタッフは「若い人たちから元気をもらった」と笑顔を見せていました。

    高校生の頑張りで現場に活気があふれた
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