2011年8月27日

東日本大震災:山梨の村と岩手の町がつながる 岩手県住田町 仮設住宅避難者への支援実施

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  • 住田町役場での面会の様子。奥右側より、丹波山村村議会副議長・白木氏、議長・守屋氏、村長・岡部氏、住田町町長・多田氏
    住田町役場での面会の様子。奥右側より、丹波山村村議会副議長・白木氏、議長・守屋氏、村長・岡部氏、住田町町長・多田氏

     8月27日、車いっぱいにつまれた約700kgのジャガイモを岩手県住田町に届けました。このジャガイモは、山梨県の丹波山村で地域のボランティアや村役場、オイスカなどが、耕作放棄地を活用して育てた思いのこもったじゃがいもです。

     岩手県の住田町は、町面積の約90パーセントが森林という場所です。今回の東日本大震災では、町内で被災された方がいるにも関わらず、被害が甚大であった陸前高田市から内陸に車で30分という立地もあり、被災した陸前高田市周辺沿岸部に対する支援を震災直後から行っています。それと同時に、住田町内の仮設住宅で被災者の受け入れを行っているのです。

     同町の仮設住宅は、町内で収穫した木材を使用した木造一戸建仮設住宅という特徴を持っています。町の財産である木材を活かした町づくりを掲げ、その活用の一つとして木造一戸建仮設住宅を検討していた矢先に震災が発生したため、いち早く木造の仮設住宅を作ることができました。現在住田町内には3カ所の仮設住宅団地があり、中上団地に63棟、本町団地に17棟、火石団地に13棟が設置されており、合計約250名が生活しています。

     また、オイスカと住田町には「森のつみ木広場」を通したつながりがありました。林野庁より同町に出向されていた水野氏を通して、3月17日には「森のつみ木広場」インストラクター養成講座を開催する予定だったのです。その6日前に地震が発生、講座は中止せざるを得ない状況となりました。しかし、その後も同町関係者と連絡を取る中で、仮設住宅入居者への支援物資提供や同町へのつみ木寄贈のニーズが確認されました。
    住田町役場に掲げられた「立ち上がろう 気仙」の垂れ幕
    住田町役場に掲げられた「立ち上がろう 気仙」の垂れ幕

     今回、ジャガイモの支援は丹波山村役場、木netやまなし推進協議会、オイスカが協力して行いました。丹波山村は、東京を流れる多摩川の源流であり、これまでオイスカと企業の森づくりやクラインガルテン事業、耕作放棄地を活用した農業の実施などで協働しているオイスカの会員です。震災以降、丹波山村では被災地になんらかの協力がしたいと常々考えていたところ、オイスカの紹介で住田町でのニーズがあったために、みんなで協力して作ったジャガイモを持参したのです。住田町役場や仮設住宅団地で手渡されたジャガイモは、保存も可能な食材として喜ばれました。また、丹波山村で先日開催された夏祭りで集まった義援金も、住田町に寄贈されました。

     ジャガイモの寄贈と合わせて、オイスカからはつみ木を約7000個寄贈しました。かねてより「森のつみ木広場」での協力があり、寄贈されたつみ木を活用して今後さらなる取り組みが期待できます。仮設住宅に入っている子どもたちにも、つみ木を通して楽しい時間を過ごしてもらえればと思います。

     オイスカが協働している丹波山村も、村の97%が森林です。高齢化が進み、林業が衰退している中で、住田町が実施している様な木材を活用した取り組みは有意義な参考事例となります。また、住田町は町有林においてFSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)の認証を取得しています。これは、持続可能な森林経営のために、生態的、経済的、社会的側面などを包括的に評価するもので、地域に適した森林管理基準に基づいて適正に管理されている森林を認証するものです。

     今後、丹波山村がFSC森林認証の理念に基づく森林整備を行い、東京の水源地域として元気を取り戻していくためにも、今回の支援でつながった住田町・オイスカ・丹波山村の縁を大切にしていきたいと思います。

    (報告:本部啓発普及部 菅原弘誠)

    住田町町長(左から2番目)、仮設住宅団地入居者(右から2番目)にジャガイモを手渡す丹波山村関係者
    住田町町長(左から2番目)、仮設住宅団地入居者(右から2番目)にジャガイモを手渡す丹波山村関係者
    つみ木を寄贈し、その説明をするオイスカ山梨県支部・田中美津江副会長(左)
    つみ木を寄贈し、その説明をするオイスカ山梨県支部・田中美津江副会長(左)

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