2012年11月20日

オイスカ・南インド総局 ケララ州にてプロジェクト形成調査を実施

  • 海外ニュース
  • 草地が広がる植林候補地。かつて掘られた野生ゾウ捕獲のための落とし穴が、ところどころに残っている

     2012年11月20〜27日、(公財)国際緑化推進センターの林業NGO等活動支援事業助成金の支援を受け、「インド・ケララ州における先住民のための植林プロジェクト形成調査」を行いました。これはオイスカ・南インド総局から新規に提案のあったプロジェクトに対して、その活動内容や実施体制などを確認することを目的としたもので、森林・土壌の専門家とオイスカ職員の2名を現地へ派遣し、調査を行いました。

     プロジェクト候補地のあるアタパディ地区は、12年に世界遺産に登録されたばかりのインド南部・西ガーツ山脈のふもとに位置し、生態系の保全が進められているニルギリ生物圏保護区にある丘陵地帯です。もともと3部族の先住民が山の自然資源を活用しな
    がら生活していましたが、1950〜80年代にかけて外部からの移住者によって奥地へと追いやられ、現在では同地区の人口の約40%を占めるだけとなり、その多くが農業や日雇い労働などで生計を立てています。外部からの移住者が増えるにつれて、農地転用や薪炭の確保などのために森が伐り開かれ、今では木のまばらな草地が広がっています。

     現地では、植林候補地となっている約20haの土地において、現在の土壌や植生などを調べるベースライン調査を行いました。ここで得られたデータは、植林してから数年後にその成果を測る際の基礎データとなります。また、カウンターパートとなる地元の農業組合との打ち合わせや他団体が実施した植林の成功事例の視察なども行い、地域住民が主体的に植林地の管理を継続できるようにするための活動の在り方について検討しました。例えばこの地域ではコーヒーやスパイス、果樹などの栽培や養蜂にも取り組んでおり、こうした農業と植林とを組み合わせて行うことも有効な手法の一つとして考えられます。

     今後、自然環境の保全と地域住民の生計向上を両立できるようなプロジェクトとして計画をまとめ、支援者を探していく予定です。

    農民グループの代表や行政担当者との打ち合わせ
    この投稿へのトラックバック:

    アーカイブ