2010年1月3日

オイスカ・カンボジア/「子供の森」計画 一人の研修生OBの熱意で本格スタート

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    子どもたちは木の生長を楽しみにしながら世話をしている
    子どもたちは木の生長を楽しみにしながら世話をしている

     昨年、カンボジアでも「子供の森」計画が本格的にスタートしました。オイスカ西日本研修センターで農業研修を受け、2008年に帰国したソバンナ(Chhourng Sovanna)さんは、日本で研修中に「子供の森」計画の素晴らしさに触れ、帰国したら「子供の森」計画をスタートしようと決意しました。彼の熱意にほだされたオイスカ・カンボジアは、関係行政などに実施許可を取る一方、オイスカ本部への支援要請や実施にあたっての資料入手などの仲立ちを買って出ました。ソバンナさんは、その後、「子供の森」計画に参加を希望する学校へ何度も通い、先生や生徒、地域の人々と対話を重ねました。また、オイスカ本部が作った英文の環境教育用小冊子『Tree for Harmony』をクメール語に翻訳して配るなど、活動の意義について理解してもらうよう努めました。そしてついに09年6月、子どもたちと、現地の固有樹種5種類216本の植林を実施することができました。小規模ではあっても、こうした実績の積み重ねは、「子供の森」計画の普及に大きな力になります。また、オイスカ・カンボジアにとっても良い刺激となり、今後の活動がより充実したものになることが期待されます。

     オイスカ・カンボジアは、01年に設立されました。オイスカの活動をカンボジアに展開しようと意欲を燃やし、その足がかりとして、03年に首都プノンペンで「アジア太平洋青年フォーラム」を開催しました。このフォーラムには、国内外から150名の青年代表が参加しました。また05年には、(社)国土緑化推進機構「緑の募金」の助成金を受け、カンボジア南西部のココン県のタイ国境付近で、マングローブ植林および保護活動を開始しました。3年計画で始まった同プロジェクトは、オイスカ・カンボジア、カンボジア政府環境省、地域社会の協働で、41haを対象に行われました。プロジェクトが終了した08年に現地に移管され、2年あまりが経ちました。マングローブは地元住民らに守られながら大きく育ち、周囲の森と一体化しつつあります。マングローブが茂る海には魚やカニなどが棲みつき、魚介類の漁獲量も植林前と比べて安定してきたことから、同プロジェクトに対する地域住民の理解と感謝の念もさらに深まっています。

     植林した地域は自然保護区に指定されています。マングローブ林の重要性などを知ってもらうため、マングローブ林の中を縫うように散歩道が造られており、そこに生息している魚や野鳥などを観察することができます。近年は、海外からも観光客が訪れるようになりました。

     オイスカ・カンボジアでは、引き続きカンボジア政府環境省や地域社会との協働で実施できる、新たなマングローブ保護植林事業を模索しています。

     

     植林されたマングローブは周囲の森と一体化してきた
    植林されたマングローブは周囲の森と一体化してきた
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