2016年2月4日

「海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画」 震災から5年の節目を前に将来ビジョン形成調査を開始

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  • 虹の松原の視察。左からオイスカの清藤城宏参事(緑化技術担当)、東京大学の太田名誉教授、松島森林総合の佐々木勝義代表

     2015年11月17~20日、東京大学の太田猛彦名誉教授ほか「海岸林再生プロジェクト」関係者6名が、佐賀県唐津市を訪問しました。プロジェクトでは同年8月に「海岸林と地域の将来ビジョン形成調査」(協力: 経済同友会)を立ち上げ、行政当局への提言を目指し、日本各地の海岸林保全および活用の先行事例を対象に、官民連携の運営方法、森林保全および利活用の内容や海岸林が地域にもたらす効果の検証を行っています。今回はその一環として、100年先を見据えた「基本計画」と官民協働による「実行計画」が機能している虹の松原(約216ha)を訪れ、九州森林管理局佐賀森林管理署や虹の松原保護対策協議会(佐賀県、唐津市ほか)の協力を得て視察や調査を行いました。
     また、12月22日には、オイスカ本部事務所にて新潟県の行政関係者や佐賀県のNPOの方を交え情報交換会が行われました。新潟市北区の飯野晋区長はじめ産業振興課の職員2名と、虹の松原の保全活動を行う「NPO法人唐津環境防災推進機構KANNE」の生部高理事長と藤田和歌子事務局長が参加。地域と行政が連携し進められている両地域の海岸林保全に関し現状を共有し、意見を交換しました。
     一般的に海岸林は地域住民の生産活動や生活維持に大きく関わりがあり、保育管理は長期にわたって行う必要があります。「海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画」は、20年で最初の区切りを迎えますが、それ以降に必要となる下刈りやつる切りなどの保育管理、植栽後20年前後から開始されるであろう本数調整伐(間伐)も念頭に「第2次10ヵ年計画」を実施する予定です。それに伴い、現在育苗を担っている「名取市海岸林再生の会」も名称と役割とを一新しつつ、継続的に地域が主体となって保全に向けた活動をすることを視野に入れています。特に津波で海岸林を失った東北地方においては、再生対象地が過去に類を見ない広大な面積であることや、沿岸部からの移転に伴う近隣住民の不在、社会経済状況の変化といった課題を抱えています。そのため、行政が立案する復興計画に基づきつつ、将来の海岸林の保全・活用のあり方を慎重に検討し、活動の主体となる半永久的な組織を周到に構築することが求められます。
     将来ビジョンは、被災した東北沿岸各地で着工されている海岸林の再生全体に必要な情報を収集し、今後3年程度の期間を費やして策定していく予定です。東日本大震災から丸5年となる今年、3月12日には名取市でプロジェクトの定期活動報告会を催し、市民の皆さんに将来ビジョン調査の状況報告を行います。行政や市民との連携を深めながら、100年先を見据えた海岸林づくりを実行していきます。

    津田の松原(香川県)では市民がいつでも松葉掻きができるよう熊手が設置されている。看板にも工夫があり、こうした取り組みを参考にして「名取市民の森」をつくっていく
    津田の松原(香川県)では市民がいつでも松葉掻きができるよう熊手が設置されている。看板にも工夫があり、こうした取り組みを参考にして「名取市民の森」をつくっていく
    マツが成長すれば、林床に大量に松葉が落ち、その処理が課題となる(参考写真:福岡県・生の松原)
    マツが成長すれば、林床に大量に松葉が落ち、その処理が課題となる(参考写真:福岡県・生の松原)
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