サイクロン・ウィンストンによる被害とその対応について
フィジーで2月20日夜から21日にかけて発生したサイクロン・ウィンストンによる被害は甚大で、多くの死者と合わせて13,000名以上の避難者が出ている(2月23日時点、外務省情報)と言われています。
オイスカの研修センターはビチレブ島南西部のシンガトカという町の近くにありますが、幸いにもその周辺では大きな被害がなく、数日間の停電とビニールハウスが少しダメージを受けた程度でした。
一方、フィジー全土にいるオイスカの研修生OBやプロジェクト実施地、特に今回はビチレブ島北東部に位置するRa(ラ)県での被害が大きいとの情報が入っていました。
そこで駐在代表のジョセリン・マトゥンハイと駐在員のロダ・ガワン、及びオイスカ・フィジーの現地スタッフがチームを作って2月25日、27日~28日にかけて被害の大きかったエリアに駆け付け、研修生OBやその出身村を中心に復興ニーズの確認と、限られた量ではありますが支援物資(キャッサバやサツマイモなどの食糧や服、テントなど)の配布を行いました。
また、Nakorovou(ナコロボウ)のコミュニティーにおいてはカレーの炊き出しを行い、家が破壊されて避難している人たちにわずかではありますが温かい食べ物を提供できました。
サイクロンで生活道具が破壊された村ではこういった支援が非常に有難く受け取られました。また同時に野菜の種子も持参し、サイクロン後、これから数ヵ月で食糧不足が発生するであろう現状に対して、村人が少なくとも自分たちが食べることができる野菜を植えるための支援を行いました。
並行して行ったラ県の活動地及びスタッフの状況確認では、ここでも改めてサイクロン被害の大きさを確認。コミュニティー植林で植えられた木々がダメージを受けたり、活動実施村の海沿いの家が完全に破壊されたりという状況を目の当たりにして関係者もショックを隠しきれませんでした。同地で行うサンゴ礁保全プロジェクトの器具を置いていた村の倉庫も完全に破壊され、多くの道具が失われました。
幸いなことにスタッフに怪我はありませんでしたが、今後どのように活動を継続していくか、被災したコミュニティーに支援をしていくかを検討していく必要があります。
ただ、そのような中でも状況を聞いた村人たちからは、「オイスカが植えてくれたマングローブがあったおかげで自分たちの村が全壊せずにすんだ。マングローブがなければどうなっていたか考えると恐ろしい」との言葉が寄せられ、これまでの地道な活動が少しでも村人を守ったことを実感、オイスカ活動の重要性を再認識する機会となりました。
ラ県のデモファームで活用していた農具が破壊され(左写真)、大きな木でさえも根こそぎ倒された様子から雨風の強さが想像できる
このような状況に対して、公益財団法人オイスカでは駐在員やオイスカ・フィ ジーの緊急支援や状況調査に対して支援を行い、今後の復興に向けた取り組みを サポートしていきます。村人からは、緊急物資にとどまらず、オイスカならでは の野菜や木の苗・種子といった将来を見据えたオイスカらしい支援に感謝の意が 述べられました。フィジーでこれまで継続してきたマングローブ植林や「子供の 森」計画、サンゴ礁保全などの環境保全と、農業の技術指導による人材育成、そ れらを包括した地域開発などのさらなる展開と、継続的な支援が期待されています。
<本件に関する問い合わせ>
オイスカ本部
海外事業部 担当:菅原(03-3322-5161)
【写真説明】
一段目:オイスカが持参した食糧や服などを受け取るフィジーの村人たち
二段目左:「子供の森」計画の一環としてMataso(マタソ)小学校で取り組んでいた養鶏プロジェクトの小屋が倒壊
二段目右:倒れた木が男子寮の建物にぶつかっている様子
三段目左:スタッフの親戚の家及びサンゴ礁保全活動の器具を管理していた倉庫が、完全に破壊された
三段目右:これまでに植林して成長したマングローブ林に飛ばされたトタン屋根が絡まる様子