2015年10月2日

プロジェクト地で広がる持続可能な取り組み 植林から保全・活用へ 森を活かした生計向上を目指す

  • 海外ニュース
  • 8月11~15日、本部海外事業部の職員2名が、外務省「日本NGO連携無償資金協力」(N連)の申請にかかわる案件調査のためタイに出張しました。事業予定地は、周辺国や一部住民による野焼きの煙害に苦しむタイ北部チェンライ県。オイスカは同地で、長きにわたり多くの企業・団体と森づくりを進めています。現地では、そこに暮らす山岳民族を中心とした住民が、木の伐採や焼畑ではなく今ある森を持続可能なかたちで活用しその恵みを活かした生計向上が図れるよう、案件を進めていくことが確認されました。

    事業予定地を望む(タイ)
    事業予定地を望む(タイ)

    調査では、現地駐在員らと共に対象地域の3つの村の住民から聞き取りを実施。その結果、キノコ栽培や養蜂、アグロフォレストリー(※)でのコーヒー栽培が有効と判断しました。併せて、すでに実践されている仔豚や仔牛などの家畜を貸し付けて肥育し、販売した収益で返済と貯蓄を行うマイクロクレジット方式の生計向上も効果的であるとし、案件に組み込んでいく予定です。
    タイで予定される養蜂は、すでに他国でも取り組みが始まっています。フィリピンでは、同じくN連より供与を受け台風被害復興支援の一環として進んでいる養蜂普及プログラムで、5月に初めて蜜が収穫されました。またフィジーでは、元オイスカ開発団員の前原卓之氏がJICAのシニアボランティアとして国立青年研修センターに赴任、昨年から養蜂専門家として活動しています。同センターはオイスカ・フィジーの拠点であり、現地スタッフからの強い要望を受け、中断していた養蜂を再開、収穫した約6?の蜜はすぐに完売となりました。今後、在留邦人や観光客にマーケットを拡大していけば、研修生への学びの提供に加え、自助努力でのセンター運営に向けた大きな一助となることが見込まれます。
    養蜂は豊かな緑がある場所で行われます。オイスカが本格的に植林プロジェクトに着手して35年、世界各地に植えられた木々は大きな成長を見せています。育った森を保全しつつ住民の生計向上を図る上で、養蜂は持続可能な産業の代表例となります。今後、各国のプロジェクト地周辺の住民を対象に養蜂の普及を進める予定です。

    ※植えられた木々の間の土地で農作物を栽培する手法。森林の保護と作物栽培の両面が見込まれる。

    養蜂は一度技術を習得すればそれほど手をかけずに収穫が得られ、需要も高い(フィジー)
    養蜂は一度技術を習得すればそれほど手をかけずに収穫が得られ、需要も高い(フィジー)
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