戦前、長きにわたり日本の統治下にあったパラオ共和国。同国とオイスカのつながりは30年に及び、1980年、オイスカ・パラオ総局の会長に現駐日パラオ共和国のミノル・F・X・ウエキ特命全権大使が就任し、活動が始まりました。82年にはアイメリーク州にパラオ研修センター(以下、センター)が完成し、周辺国からも研修生を受け入れていましたが、農業に従事する青年の数も減り、久しく研修事業を中断していました。
その様子に心を傷めた現パラオ総局岸川至会長が、私財を投じてセンターを新築し、国内のオイスカ会員やフィリピンの研修生OBらの力を借りて農場を整備し男子寮を再建。 また、女子寮の建設には外務省のNGO草の根・人間の安全保障無償資金協力を受け、2010年7月に開所式が行われました。
そして11年1月には、 栃木県のオイスカ賛助会員により、トラクター、アタッチメント、バックホウ、撹拌機などが寄贈されました。資材の少ない中、センター再興に向け真摯に取り組む岸川会長の姿に胸を打たれた人見誠志氏によるもので、 今後、センターの農場整備に大きく貢献することが期待されています。
また、3月29日には同国政府へ消防車と救急車、各3台の贈呈式も行われました。10年、オイスカの新屋敷道保常務理事が訪問した際、ジョンソン・トリビオン大統領より車両老朽化のため提供の要請があったもので(社)日本外交協会の協力と外務省の日本NGO連携無償資金協力を得て実現したものです。 贈呈式では同大統領から感謝の意が述べられ、ノルベルト・H・ヤノ警察署長からは「今まで病院にしか救急車がなく急患に対応できないことがあった。今後は臨機応変にできる」と喜びの声が聞かれました。
同様のニーズはフィリピンにもあり、同国北ザンボアンガ州ディポログ市に消防車1台と救急車2台、同州ピニアン町に救急車1台が寄贈されました。緊急車両が不足していたり故障で使用できないなど、患者の搬送効率や一刻をあらそう火災現場への対応に大きな不安を抱える両地域でしたが、4月14日には、在フィリピン日本国大使館より磯俣秋男公使ら3名、ロバート・Y・UY・ディポログ市長、マリア・セシリア・カーレオン・ピニアン町長も列席し、合同で贈呈式が行われました。
外務省の日本NGO連携無償資金協力を受け輸送されたこれらの車両は、愛知県豊田市消防局より提供されたものです。オイスカは、ミンダナオ・エコテック研修センター池田広志所長が中心となり橋渡しを行いました。今後は同所長により寄贈車両の運用についてモニタリングを行い、必要に応じて可能な支援を続けていく予定です。このような活動を通し、今後もさまざまな国と関わりをより深めていきたいと考えています。