10月1日から11月1日までの1ヵ月間、オイスカ・ミャンマー農林業研修センター(以下、センター)の職員5名が来日、各地で農村開発における先進事例を学びました。今回の研修は、本年3月より実施している、外務省の日本NGO連携無償資金協力による「農村開発の為の人材育成拠点の整備並びにマグウェ地域生計向上プロジェクト第1期」の一環で、センターにおける研修内容や地域開発事業の取り組みを改善するため、 職員の能力を強化する目的で実施されました。
センターは開所から17年目を迎えましたが、これまでの研修内容は、主に作物や家畜の管理・加工といった技術指導に主眼が置かれており、研修を終えたOBや周囲の農民が農村で生計を立てる上で必須となる経営あるいは地域振興のノウハウといったものは対象とされていませんでした。また、センターを自立的に運営するためにも、まずはセンター職員の能力開発が必要であると考え、本研修には研修事業担当者3名、地域開発担当者2名が参加しました。
一行は約3週間にわたり大分県の一村一品運動や有機農家、 さらには行政主導の農商工連携の現場などを視察。一村一品の現場では、地域の資源を利用し消費者の嗜好に応じて付加価値を高めるために商品開発をしていることや、さまざまなセクターの関係者が地域の発展を共通の目標として協力し合う姿勢に高い関心を示していました。また、里山再生に携わる林業家を訪問し、ふるさとの自然を守りながらその地域の人々の生活も改善していく様子にふれ、「研修生や事業対象地の村人にぜひ紹介したい」と意気込みを見せていました。
その後、愛知県豊田市を訪れ環境学習施設を視察。「家庭から出るゴミを分別することで、ゴミが資源として活用される取り組みが印象に残った」と語りました。オイスカが行政や支援企業と協働で取り組む山梨県丹波山村のプロジェクトでは、地域振興の新たなモデルを学ぶことができました。
帰国を前に一行は、研修を通じて得た経験を実際の研修事業や農村での開発協力事業で活かすため、計画に落とし込み、東京の本部事務所で職員や会員の皆さんに向けて発表しました。計画では、より自立したセンター運営のために収入を増やすことをひとつの課題に挙げ、有機農業などを地元のNGOに対して有料で研修を行うといった新たなアイデアが盛り込まれていました。今回学んだ多くの知識や経験をほかの職員や村人と共有し活かされていくことで、ミャンマーでの事業がさらに発展していくことが期待されます。