「子どもたちに寄り沿いながら」
去る4月、(特活)ピースウィンズ・ジャパン(以下、PWJ)にご案内いただいて訪れた気仙沼市立気仙沼中学校。PWJに招待いただき、5月21日、「森のつみ木広場」を行うために再び同校を訪れました。校庭に建ち揃った仮設住宅は既に入居が始まり、学校も再開しましたが、依然一部の教室や体育館は避難所として使われ、いまだ多くの方が不便な生活を強いられています。
テントが張られた体育館の一画につみ木のスペースをいただき、絨毯を敷き詰めると、殺風景な体育館に絨毯の赤い色が少し温かさをプラスしてくれた感じがしました。休まれている方も多く、大きな声を出す「森のつみ木広場」のワークショップは行わず、自由に遊んでもらうイベント形式を取ることにしました。
準備が始まると、子どもたちが「何やってるの??」と興味津々で近寄ってきてくれました。中には、前日に「森のつみ木広場」を行った双葉保育園の園児も。避難所から園に通う彼は、「明日は気仙沼中学校に行くんだよ」という言葉を覚えていてくれて、お姉ちゃんの手をひいて一緒にやってきてくれました。
早速、思い思いに作品を作り始める子どもたちに、PWJのスタッフの方やオイスカのスタッフがそれぞれ寄り沿って、お話をしたり手伝ったりしながら子どもたちと触れ合います。一生懸命に作品を作りながら、小学校5年生ぐらいの女の子が話し出しました。「このつみ木、地震が来たらまた崩れちゃうかなぁ。せっかく作ったから、明日まで残っててほしいな。地震があった時ね、すごく怖かったの。すぐ近くの家が火事で焼けて、家まで燃え移るかと思ったんだ。最初の夜は眠れなかったよ」。すると、避難所の外でサイレンが鳴り始めました。どうやら被災した沿岸部の建物が爆発か火災に遭ったようでした。女の子は続けます。「今もね、こうやって火事とかあると、サイレンが鳴るの。けっこう多いんだけど、津波の警報を思い出すから、私は嫌い」。
子どもたちは、経験したことを話しながら自分の体験を消化していくそうです。つみ木を通して、じっくりと温かい気持ちで子どもたちと向き合うことができれば、子どもたちは心をほぐし、安心して自分の体験を話してくれるのだと実感しました。子どもたちが話してくれたことを受け止め、一人でも多くの子どもたちの癒しにつなげていきたい。「森のつみ木広場」を行うことの大きな意味を改めて考えた瞬間でした。
(報告:本部啓発普及部 石原真弓)