2月12日(金)、木の香りがあふれる新木場の木材会館にて、オイスカ森づくりシンポジウム「うみやまあひだ~伊勢神宮の森から響くメッセージ~」上映会を開催し、300名の方が参加してくださいました。
冒頭、中野悦子会長より主催者挨拶がありました。
********************************
今回このような催しを新木場の有志の方々の多大なる支援を得て開催できましたことを、心から感謝申し上げます。
わが国には、国土の7割近くを森林で占め、先人たちの努力で守られてきました。私たちは、自然の恵みによって生かされていることを忘れてはならないと思います。
「緑影深きところ、魚影深し」と言いますが、森と海や川には相関関係があります。だからでしょうか、神社のお祭りには「海の幸、山の幸」の両方がお供えされています。
オイスカは今後も未来を生きる子どもたちのために、皆様方とともに活動を展開してまいりますので、ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
********************************
続けて、林野庁森林利用課長 赤堀聡之様、江東区長 山崎孝明様、東京木材問屋協同組合 吉条良明様に来賓のご挨拶をいただきました。また、東京都議会議員、江東区議会議長、江東区議会議員をはじめとする多くの来賓の方にご臨席を賜りました。
シンポジウムでは、オイスカの創立経緯、役割を説明し、国内外で行っている森林整備活動を中心に報告。また参加してくださった方に、気軽に協力できる国際協力の支援方法をご紹介しました。
今回のメインである映画では、太古の昔から、森をはじめとした自然との共存を続けてきた日本人のこころに迫る映像の美しさに、感嘆の声が上がりました。上映後、プロデューサーの鎌田様よりご挨拶いただき、参加してくださった方々からの質問にもお答えいただきました。
今回、多くの方にオイスカの活動および、うみやまあひだの映画を見ていただき、スタッフ一同とても嬉しく思っております。今回のキーワードは【木】でありました。新木場の木の香りあふれる木材会館で、シンポジウムを開催できたこと、参加してくださった皆様にも喜んでいただけ、大変有意義な催しでした。
上映会修了後に多くの方にオイスカの森づくりへの募金にご協力いただきました。
ありがとうございます。ご参加いただいたみなさま、誠にありがとうございました。
■プロデューサー:鎌田雄介様のお話■
この映画は2012年の冬に制作を開始し、2013年の第62回式年遷宮を追いかけながら12人の出演者にお話を伺う形で約1年半かけて制作しました。出演者の方々12人が、私たちの想いをくみ取ってくださり、人と人とを繋いでくれたことで完成した映画です。
監督は写真家の宮澤正明さん。彼は10年以上にわたり伊勢神宮に通い、写真を撮り続けていました。式年遷宮とは、約8年にわたり様々な儀式を経て、クライマックスへ辿りつくという壮大なものです。それを宮澤監督はそれをコツコツと撮り続けてこられました。この作品は彼のその想いが結実した作品です。1月に伊勢でお披露目をさせていただいてから、4月に全国の劇場で上映を開始。その後、世界の方にも見ていただきたいという思いから海外の映画祭に応募し、2015年、マドリッド国際映画祭では賞をいただきました。
私は、10年間アメリカで映像関係の仕事をしていました。これまではアメリカで起こったことを日本人に伝える仕事をしてきましたので、これからは、日本の素晴らしいところを海外に広めていきたいと思いました。同じ時期、伊勢神宮の式年遷宮が、世間ではあまり認知されていないことを知りました。そこで、これを国内外のたくさんの人に知ってほしいと思ったことが、この映画制作のきっかけであり、唯一のテーマでありました。映画を製作するにあたって、ただ伊勢神宮を持ち上げるだけの作品にするのではなく、現在の日本のことも考え、批判する部分も入れつつ、将来に向かって何か考えていけるような作品にしたいと思っておりました。
私は、伊勢神宮が日本の元々の姿である豊かな自然をどのようにして守ってきたか、今後どのように守っていくかをこの式年遷宮を通して体現してきたと考えています。
■質疑応答■
Q;地方の森、木の資源を活かすにはどうすればいいですか?
A:シンプルにいうと本来の日本人の生活スタイルを取り戻すことだと思います。
Q:自然が共存し、美しくあることの根本を教えてください
A;そのヒントが伊勢神宮にあると思います。もともと日本人は自然とうまく共生してきたという証です。
Q:続編の制作予定はありますか?
A:考えてはいますが、まだはっきりは決まっていません。このテーマは制作チームのライフワークになると思います。
Q:この素晴らしい映画を作った動機、きっかけを教えてください
A:ある打ち合わせでの、式年遷宮を千年以上も続けてきたことを日本のみなが知るべきだ、という一言からすべてが始まりました。
Q:日本の木も米のように、税金を投入して自給率をあげるべきだと思いますか?
A:税金を投入しているから、うまくいっていることは何もないと思います。ここまで来てしまうと国に頼っていても結局なにも変わらないと思います。
Q:500億円の資金はどのようにして調達していますか?
A:すべて民間からの寄附で成り立っていると聞いています。
Q:日本人は自然と共存できますか?
A:伊勢神宮にその証があると思います。
A:最近の気候変動の大きさと、地球温暖化の中で、我々人類は何をすべきですか?また、世界的にはどういった動きがありますか?
A;それぞれの国の人々が地球規模でものを考えることに尽きると思います。去年のパリ環境会議、今年のワシントン条約など地球規模の重要な取り決めは毎年のように行われています。不思議なことに日本国内ではあまり報道されませんが、世界中でジャーナリストが世界各地の問題について実はたくさん作品を発信しています。もっと日本でドキュメンタリーが観られるようになるようにしたいと思っています。
Q;この映画が各地で上映され、その後どのような物語が生まれたのか(特に海外で)伺いたいです
A:国内では上映会をすると必ずと言っていいほど、次につないでくれる方が現れます。国外でも同じような展開になっていて世界各地につながる気配があります。大ヒットするような作品ではないかもしれませんが、何かを感じてくれた方が、パスをつないでくれるのです。
Q:伊勢のような森が日本に増えるために、自分は何ができますか?
A:一緒に植樹祭にいきましょう!
Q:音楽がとても素敵でした。サントラ等の発売はありませんか?
A:サントラは発売しています。HPから事務局に問い合わせください。
■ご参加いただいた皆様の感想■
「海外の方もそうですが、一人でも多くの日本人に見てもらいたい映画だと思いました」
「自然と共に、自然の変化に従って生きる日本人の生き方が表現されていてよかった」
「オイスカの活動、映画の内容、木材で作られた会場が見事にマッチしていてとてもよかった」
「国際協力活動は地道で困難な道のりですが、今後もがんばって下さい」
「ホンマに良かった。こちらから心より感謝申し上げます。久々に有意義なひと時ありがとうございました」
「ボランティアの活動を知ることができました」
※参考
・シンポジウム・上映会案内 https://oisca.org/news/?p=8211
・うみやまあひだHP http://umiyamaaida.jp/
・オイスカ活動紹介(動画:3分) https://youtu.be/oO5xGKXdmB8