9月27日~10月4日、(財)国際緑化推進センターの助成を受け、マレーシアのサバ州タワウ行政区にあるセバティック島にて、マングローブ植林プロジェクトの形成調査を行いました。日本からは、オイスカ緑化技術顧問・清藤城宏、本部国際協力部海外プロジェクト担当部長・長宏行の2名、マレーシア国内からは東海林珠代駐在員、KPD/オイスカ青年研修センター所長・ジミル・ビン・ジャイノル氏、マリトス氏(通訳)、研修生OB・バイルラ氏(現地案内)の4名、計6名が調査に当たりました。 同島の北岸で調査団が見たものは、タコ足状の支柱根を持つヒルギ科の群落が、何㎞にもわたり浸食を受け、なぎ倒されている光景でした。原因は、ここ数年雨季の高波が長く続くこと、さらに20年ほど前に同島の森林が伐採された際、海に流されたものが流木となり、現在も高波のたびにヒルギ科の群落に衝突するためと推測されました。
一方、ヒルギ科の群落の前面に帯状に群落を形成していたヒルギダマシ、ハマザクロには、倒されているものは見かけませんでした。調査を依頼してきたタワウ林業局では、「これまでヒルギ科の苗を植林してきたが、すべて流されてしまい打つ手がない」とのこと。そこでオイスカは、幼木が随所で育っていたヒルギダマシに注目しました。ヒルギダマシは他の属樹種に比べ幹や枝の弾力性に富み、波や流木のストレスにも強い性質を持つため、幼木でも生存できていると考えたからです。
このヒルギダマシを前面に高密度で植えていくことにより高波の威力を低減させ、ヒルギ科の群落を守ることができると考えられます。波の威力が弱まれば、流木の衝突威力も弱まる可能性があります。この試みで効果が認められたならば、同島北岸の浸食を止めることができるとともに、同じような被害に悩む他の地域の問題も改善につなげることができるかも知れません。
この仮説を元に、今後さらなる調査と試験的な植林を行い、より適切な解決方法を見出していきたいと考えています。