オイスカ・フィジーは、1991年からフィジー政府と協約を結んで活動しており、主に、青年スポーツ省が運営する国立青年研修センター(以下、センター)内での農村青年を対象にした農業の技術指導を担っています。また翌92年以降は、「子供の森」計画への参加、 沿岸部でのマングローブ植林が始まったほか、2002年からはサンゴ礁の保全プロジェクトにも取り組み、その活動は活発に行われています。
9月8日、7月に新たに着任した大村昌弘日本大使がオイスカ・フィジーの活動拠点であるセンターを訪問し、研修生らの取り組みを視察しました。スタッフと研修生はフィジーの伝統的なセブセブの儀式でお迎えした後、農場や堆肥をつくる施設などを案内し、日頃の研修の様子を紹介しました。大使からは草の根・人間の安全保障無償資金協力※の活用などについて助言があり、今後の活動の発展につながる有意義な意見交換の機会となりました。
また世界観光デーである同27日には、日頃から協力関係にあるアウトリガー・フィジー・ビーチリゾート(以下、アウトリガー)で、サンゴ保全活動が行われました。これは、フィジー政府が定めた気候変動防止週間に合わせ、観光省がアウトリガーと地元コミュニティの協力を得て実施したもので、オイスカはサンゴの植え付けのデモンストレーションなどに協力しました。集まった参加者を前に、アウトリガーの総支配人であるピーター氏は、「サンゴの保全活動は、3年前にオイスカとの協働でスタートした。
サンゴの回復と共に魚が増えてきている」と話し、観光資源保護の観点にとどまらず、地域住民の生活を守るためにもサンゴの保全が重要であることを強調しました。
フィジーは、11月6〜17日にドイツで開催される気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)で議長国を務めることが決まっており、 気候変動の影響を受けやすい南太平洋の島しょ国の中でも、その対策におけるリーダーシップの発揮に積極的な姿勢を示しています。オイスカはフィジー政府のそうした動きをサポートすべく、引き続き沿岸部におけるマングローブ植林やサンゴ保全活動などを進めていきます。
※開発途上国における経済社会開発を目的にNGOが行う、比較的小規模な事業への資金供与をする政府開発援助(ODA)の枠組みの一つ